広告やサイトの効果が分からないときは、KPIの整理から|KPI設計・レポート自動化の発注ノウハウ

ローカルグローススタジオは、『地方企業にスタートアップのような成長を』というテーマで、コンテンツ発信と支援サービスを展開しています。この記事では、実践的なビジネスノウハウを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

「広告に毎月お金をかけているが、そこから何件の商談になったのかを答えられない」「広告会社のレポートがクリック数で止まっている」という状態の原因は、計測の設定がないか、設定があっても問い合わせから受注までを数えられていないことです。

計測は、広告やサイトにかけたお金の効果を数字で見えるようにする仕事です。効果を数字で見るには、計測の設定を直す前に、問い合わせ、商談、受注のように各段階で追う数字(KPI)を決めておきます。追う数字が決まると、どの設定が足りないかが分かり、毎月の会議で広告の予算を増やすか減らすかを、その数字で判断できるようになります。

この記事は、「KPI設計・レポート自動化」について、2種類の読者に向けて書きました。KPI設計・レポート自動化は、追う数字を決め、計測を設定し、週次や月次のレポートが自動で届くようにする支援です。

ひとつは、計測を整えると何が分かるのか、まだイメージを持てていない方です。もうひとつは、イメージはあるものの、自社でできるのか、外部の専門家に頼むべきか迷っている方です。

前半は前者の方に向けて、私たち(ローカルグローススタジオを運営するつなぐスタジオ)が実際に動かしている計測の仕組みと、計測を何のために整えるか、どこから始めるかを書きました。後半は後者の方に向けて、計測の設定のうち自社で直せる範囲と外部に頼む範囲の境目、外部への頼み方、費用、納品物の確かめ方を書きました。

この記事で分かること

まだイメージがない方向け

  • 自社の週次レポートを見て、広告のキーワードを見直した例などの私たちの事例の紹介
  • Googleの無料の機能を設定すると、広告費から問い合わせまでを経路ごとに追える
  • 目的は、毎月の会議で、広告の予算、サイトで直す場所、営業の手のかけ方を決めること
  • まず、今何が数えられているかを確かめる
  • 追う指標は、問い合わせ、商談、受注の件数と、商談化率、受注率にする

イメージはあるが次の一手に迷う方向け

  • GA4の基本設定と問い合わせ完了の登録までは、自社でできる
  • 電話や店頭の受注を広告と結びつける設定は、専門家に頼むと早い
  • 受注までを通して見たいなら、設定だけでなく計測の設計から頼む
  • 問い合わせ完了を流入元ごとに見るまでは、無料のツールで足りる
  • デジタル化・AI導入補助金と持続化補助金の対象になるかを、締切の前に確かめる
  • 初年度の目標は、自社の前月との比較で決める
  • 納品物は、テストの問い合わせを送り、納品する側と一緒に確かめる

1. 計測を整えると、問い合わせの出どころと、広告の着地先ごとの違いが数字で分かる

自社とご支援している会社では、問い合わせの経路と、広告の着地先ごとの数字を見られるようにした

私たちが自社とご支援している会社で作った3つの仕組みでは、GA4、Search Console、タグマネージャー、HubSpot(顧客管理システム)を中心に使っています。

GA4はサイトの訪問を数えるツール、Search Consoleは検索での表示回数を見るツール、タグマネージャーは計測の設定をまとめて管理するツールです。

作ったもの使ったツール何をしたか何が分かるようになったか
週次のマーケティングレポート(自社)Search Console、GA4、Google広告、YouTube、HubSpot、生成AI5つのデータを生成AIで自動で集計し、毎週土曜の朝に社内チャット(Slack)へ先週の流入と問い合わせの状況を届けます5つの管理画面を毎週見て回る必要がなくなり、問い合わせの件数と流入元の内訳が週1回の確認で分かります
問い合わせ1件ごとに流入経路と商品カテゴリーが残る仕組み(法人から問い合わせを受けている製造卸の会社)HubSpot、Google広告HubSpotに流入経路と商品カテゴリーの項目を設計し、問い合わせごとに記録できるようにしました。広告からの問い合わせは、問い合わせ完了ページが表示された回数で数えるようにしました法人の問い合わせが、どの経路から、どの商品について来ているかが1件ごとに分かります
広告の着地先ごとの計測(自社サイトで消費者に直接販売しているD2Cブランドの会社)計測タグ、GA4広告の着地先(クリックした人が最初に見るページ)を分けて計測し、同じ広告費で商品ページに届いた件数を比べました広告の着地先ごとに、商品ページに届いた件数を数字で比べられるようになりました

自社の週次レポートを作るのに、生成AIの月額料金のほかに必要だったのは、「何を数えるか」を決める時間と、設定の作業でした。

Googleの無料の機能を設定すると、広告費から問い合わせまでを経路ごとに追え、顧客管理システムの記録と結ぶと受注まで追える

計測を整えると、かけた広告費が何件の問い合わせと受注になったかが分かります。Googleの公式ヘルプに書かれている機能だけでも、次の6つが分かるようになります。

分かること使う機能何が見えるか
広告費が、何件の問い合わせや購入になったかGoogle広告のコンバージョン トラッキング(問い合わせや購入など、広告の成果として数える行動を記録する機能)購入、会員登録、電話のように、自社にとって価値がある行動を決めると、どのキーワード、どの広告が成果につながったかと、かけた費用に対する収益が分かります
サイトのどのページから問い合わせが来ているかGA4のキーイベント問い合わせ完了をキーイベント(GA4で成果として数える行動の印)にすると、入口のページや流入元ごとの問い合わせ件数をレポートで見られます
電話の問い合わせが何件あったかGoogle広告の通話コンバージョン広告経由の通話、サイトに載せた番号への通話、スマートフォンでの番号のタップなど、通話の種類ごとに数えられます
店頭や電話で決まった受注が、どの広告から来たかオフライン コンバージョンのインポート広告をクリックしたときに付く番号(クリックID)や顧客のメールアドレスを手がかりに、顧客管理システムに記録した成約をGoogle広告に取り込み、どの広告が受注になったかまで追えます
LINE、Instagram、メルマガごとの流入数GA4のカスタム キャンペーン(UTM)リンクに出どころの印を付けると、流入元ごとに訪問数と問い合わせ数を分けて見られます
どの検索語で自社が見つかっているかSearch Consoleの検索パフォーマンス レポート検索語ごと、ページごとの表示回数、クリック数、平均掲載順位が分かります。GA4と連携すると、検索から来た人がサイトで何をしたかまで見られます

どれも無料の機能です。ただし、使うには初期設定が必要です。設定した日より前の期間をさかのぼって集計できるかどうかは、機能と今の設定内容によって違うので、確かめる必要があります。

2. 何を目的にするか

目的は、毎月の会議で、広告の予算、サイトで直す場所、営業の手のかけ方を決められること

計測の目的を「毎月のレポートを出す」にすると、クリック数の表が増えるだけで終わります。目的は、毎月の会議で次の3つを決められる状態にすることです。

1つ目は、来月、広告の予算を増やすか減らすかです。これは1件あたりの獲得費用と受注の数で判断します。

2つ目は、サイトのどこを直すかです。これは問い合わせの直前に見られているページと、人が離れているページを見て決めます。

3つ目は、営業の手をどこにかけるかです。これは問い合わせから商談、受注までの転換率が低い段階を見て決めます。

この3つを毎月決められるなら、計測は足りています。決められないことがあれば、それを決めるのに必要な数字が、まだ数えられていません。

計測を整えると、すべての流入経路を合わせた1件あたりの獲得費用も毎月の会議で見られるので、広告の予算を全体の効率で判断できます。考え方はブレンデッドCPAを理解する~マーケティング効率化の決め手~に書きました。

3. どこから始めるか

まず、今何が数えられているかを確かめる

計測の整備は、設定の前に「今、何が数えられているか」を確かめるところから始められます。次の4つは、費用がかからず、1人でできる確認です。

1. Googleアカウントでログインして、GA4とSearch Consoleのプロパティ(計測の単位)と、広告のアカウントが見えるかを確かめます。見えなければ、誰が持っているかを探します。

2. 直近3か月の「問い合わせ件数」と「受注件数」を、サイト、電話、紹介に分けて紙に書きます。数字を書けない項目は、これから計測の設定を足す項目です。

3. GA4の「キーイベント」に、問い合わせ完了が登録されているかを見ます。登録がなければ、GA4では問い合わせが成果として数えられていません。

4. 広告を出しているなら、広告管理画面で「コンバージョン」が設定されているかを見ます。設定がなければ、広告のレポートに出るのはクリック数までで、問い合わせの件数は出ません。

設定が足りないと分かったときの進め方と、キーイベントを広告に連携する手順は、Googleの公式ヘルプ(アナリティクスを設定する、キーイベント、アナリティクスのキーイベントをインポートする)に説明されています。

無料で使える道具の全体は地方企業でも使える!スタートアップがよく使う無料マーケティングツール入門にまとめました。

問い合わせから受注までを数えるには、顧客データを一か所で管理していることが土台になります。受注件数を書き出すときに、顧客の記録が担当者ごとの表やメールに分かれていないかも、あわせて確かめます。

追う指標は、問い合わせ、商談、受注の件数と、商談化率、受注率の5つにし、経路ごとに出す

設定を直すときに何を数えるかを決めておくため、追う指標を整理します。件数は、問い合わせ件数、商談件数、受注件数の3つです。転換率は、問い合わせから商談への商談化率と、商談から受注への受注率の2つです。

この5つを、サイト、電話、紹介のような問い合わせの経路ごとに出せるようにして、経路ごとの広告費と並べると、毎月の会議で決める3つのうち、広告の予算を増やすか減らすかと、営業の手をどこにかけるかを、1つの表を見て決められます。

受注までの流れ(ファネル)を段階に分けて数字で見る考え方は、地方企業におけるファネル分解を考える(ザモデルの分業は地方企業でも可能なのか?)に書きました。

4. どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

GA4の基本設定までは自社ででき、電話や店頭の受注を広告と結びつける設定は専門家に頼むと早い

今何が数えられているかを確かめたら、足りない設定を直します。GA4、Search Console、タグマネージャーの基本設定をし、問い合わせ完了をキーイベントに登録し、DebugViewで数えられているかを確かめるところまでは、Googleの公式ヘルプの手順で自社で進められます。

一方で、電話や店頭で決まった受注を、どの広告から来たかまで結びつける設定は、専門家に頼むと早く進みます。電話は通話コンバージョンで数えられますが、店頭や電話の成約をGoogle広告に取り込むには、受注までの流れを段階に分けて各段階で数える行動を決め、サイトで数えた数字と電話や店頭の受注を顧客管理システムで結びつける設計が要るからです。

私たちは、電話や店頭で決まる受注がサイト経由と同じくらいか、それより多い会社には、この設定を外部に頼むことをおすすめしています。電話や店頭の受注がそれだけ多いと、サイトの計測の数字だけでは受注全体を見て判断できないからです。

顧客管理システムを入れたものの、営業担当が入力する運用になっておらず、サイトの計測ともつながっていない場合は、入力する項目を減らし、問い合わせを受けた人が経路と商品を入力する運用に直します。入力の決まりを作って営業担当に守ってもらう役の人が社内にいなければ、この運用づくりを外部に頼むことをおすすめしています。

自社で進める途中で止まりやすい場面は次の2つで、どちらも自社で解決できます。

1つ目は、GA4やタグマネージャーのアカウントを持っていた担当者や制作会社と連絡が取れず、アカウントの所在が分からない場合です。アカウントを新しく作ってタグを付け直し、その後は管理者を2人以上にして、どのアカウントの管理者が誰かを書き出して残しておくと安全です。

担当者の退職などで、タグマネージャーの管理者が誰もいなくなった場合は、Googleのヘルプによると、アカウントは自動で削除され、30日間ゴミ箱に残ります。読み取りの権限を持つ人はその間に中身を書き出せますが、そうした人がいなければ、アカウントを新しく作り、タグを付け直します。

2つ目は、旧バージョンのユニバーサル アナリティクスのまま、2023年7月以降のサイトの訪問数がどこにも残っていない場合です。GA4を新しく設定し、設定した日からの数字を残します。過去の数字は戻りません。

毎月数字を見る人が社内にいれば担当者を育て、受注まで広告と結びつけるなら外に頼む

進め方向いている状況注意点
自分で進めるGA4、Search Console、タグマネージャーの基本設定と、問い合わせ完了のキーイベント登録までの段階です設定後に、GA4のDebugView(計測をその場で確かめる画面)で数えられているかを確かめます
社内で担当者を育てる広告、サイト、顧客管理システムの3つを自社で運用していて、毎月見る人がいる会社です担当者が計測の運用に使う時間を、ほかの業務とは別に先に確保します
外に頼む電話や店頭で決まった受注がどの広告から来たかまで追いたい会社や、顧客管理システムとサイトの計測を結んで、問い合わせから受注までを通して見たい会社です頼む範囲には、設定に加えて、何を、どの画面で、誰が見るかまで含めます

5. 外部に頼むときの3つの頼み方

受注までを通して見たいなら、設定だけでなく計測の設計から頼む

計測の整備を頼める相手は、広告代理店、Web制作会社、計測の専門会社や個人の専門家、顧客管理システムのベンダー(導入支援の部門)の4種類です。

相手が違っても、頼み方は3つのどれかになります。

頼み方何を頼むか納品物向いている会社
設定代行GA4、タグマネージャー、広告のコンバージョンを設定します設定された状態と、設定内容を書き出した資料アカウントの所在が分かっていて、問い合わせ完了を数えたい会社です
受注までの計測の設計受注までの流れを段階に分けて各段階で数える行動を決め、サイトで数えた数字と電話や店頭の受注を、顧客管理システムで結びつけますファネルの定義とKPIの分解、設定、テストの問い合わせでの確認記録広告、サイト、営業の数字がばらばらで、問い合わせから受注までを通して見たい会社です
毎月の運用毎月見る画面を作り、会議で数字を見て判断する習慣を作ります週次または月次のレポートと、更新の手順書設定は済んだものの、数字を見る人がいないか、数字が判断に使われていない会社です

私たちは、この3つを分けずにお受けしています。受注までの流れを先に書き出し、各段階で数える数字を決め、月次のレポートを作るところまでを1つのプロジェクトで進め、毎月の運用はその後も続けてお受けするのが基本です。

頼む前に無料で相談できる窓口として、よろず支援拠点(国が全国に設置した無料の経営相談所)や商工会議所もあります。

頼む前に、追う指標と毎月見る人を決め、今の数字とアカウントの管理者を書き出しておく

頼む前に用意するもの中身
追う指標問い合わせ件数、商談件数、受注件数と、商談化率、受注率を、どの経路に分けて出すかを決めます
今の数字直近3か月の問い合わせ件数、受注件数、広告費を、分かる範囲で書き出します
アカウントの管理者と権限GA4、Search Console、タグマネージャー、広告、顧客管理システムの管理者が誰かを書き出します
毎月見る人会議で数字を見て、判断する人を決めます

契約の前に、何を設定し何を納めるかを文章にし、個人に頼むときはフリーランス法の取引条件を示す

契約の形は、設定代行なら成果物が決まっている請負に近くなります。私たちの場合、設計と設定は1か月単位のプロジェクトで終え、毎月の運用はその後、毎月のマーケティング支援の契約の中で続けます。この契約は準委任(成果物ではなく作業に対して支払う契約)です。

個人の専門家やフリーランスに頼む場合は、2024年11月に施行されたフリーランス法が関わります。発注する側は、頼む仕事の内容や報酬の額など9項目の取引条件を書面やメールで示し、従業員を使う発注者は成果物を受け取ってから60日以内に支払う必要があります。

計測の設定は作業が見えにくいため、「何を設定し、何で確認し、何を納めるか」を最初に文章にしておくと、双方にとって安全です。

計測タグを入れるときは、使うツールの利用規約で、自社のプライバシーポリシーへの記載を求められることがあります。設定と合わせて、その記載があるかを確認します。

6. 費用は、自社でやる範囲と外部に頼む範囲で変わる

問い合わせ完了を数えて流入元ごとに見るまでは、無料のツールで足りる

GA4、Search Console、タグマネージャーは無料で使えます。HubSpotにも無料版があります。

無料のツールだけで確実に足りるのは、サイトの問い合わせ完了を数えて流入元ごとに見るところまでです。問い合わせ1件ごとに経路と商品を記録して広告の成果と結びつけるには、顧客管理システムの有料プランが要ることがあります。

設定代行の料金は、頼める作業の範囲と合わせて比べる

各社の公式サイトなどWEB上の情報(2026年10月20日閲覧)によると、GA4の設定代行の料金は次のとおりです。

頼める作業の範囲は会社ごとに違うので、金額は範囲と合わせて比べます。設定代行で設定は整いますが、設定だけでは判断に使える状態になりません。受注までの流れの設計と、毎月見る画面、更新の手順書まで含める場合、私たちは1か月単位のプロジェクトとしてお受けしています。

私たちは、マーケティング支援の月額4万円を基本とし、必要な施策と制作物の分だけご発注いただく形で受けています。

必要な施策だけ取り組みたい、ウェブサイトやダッシュボードを制作したい、といったニーズに合わせて、単発のプロジェクト発注を1か月単位から受けています(1か月単月15万円から)。

KPI設計・レポート自動化も、この単発のプロジェクト発注で、ファネルの定義、計測の設定、月次の自動レポートまで、私たちが進行を管理して一緒に進めます。

2026年度は、デジタル化・AI導入補助金と持続化補助金の対象になるかを、締切の前に確かめる

制度対象上限と補助率締切
デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)事務局に登録されたITツールのうち、顧客対応・販売支援などの業務プロセスを持つソフトウェアの導入費です補助額は5万円以上450万円以下です。補助率は2分の1以内で、最低賃金の条件を満たす事業者は3分の2以内です次の締切(6次)は2026年10月30日17時です
小規模事業者持続化補助金(一般型通常枠、第20回)小規模事業者(常時使用する従業員が、商業・サービス業は5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下)の販路開拓の費用です上限50万円、補助率3分の2です受付は2026年11月5日から12月15日17時です

デジタル化・AI導入補助金は、事務局が認めたIT導入支援事業者と一緒に申請する決まりです。

補助率が3分の2以内になるのは、2024年10月から2025年9月の間に、当時の地域別最低賃金以上、2025年度改定後の地域別最低賃金未満の賃金で雇う従業員が全従業員の3割以上だった月が、3か月以上ある事業者です。

分析ツールは単体では申請できないため、顧客管理システムのような業務プロセスを持つソフトウェアと一緒に申請します。ツール単体ではなく「受注までの数字を見られるようにする」計画として書くと、この補助金の趣旨(生産性の向上)と合います。

持続化補助金では、ウェブサイト関連費と広報費は、それぞれ補助金の申請額で30万円(税込)が上限で、どちらも単独では申請できず、ほかの経費と一緒に申請します。様式4(商工会議所や商工会が発行する支援計画書)の発行締切は12月4日です。

7. 目標にする数字と、納品物の確認のしかた

初年度の目標は、自社の前月との比較で決める

コンバージョン率(訪問が問い合わせになる率)の平均値として公開されている数字には、海外のマーケティング会社が自社で集めたデータから出したものがあります。

各社の公式サイトなどWEB上の情報(2026年10月20日閲覧)によると、LocaliQは自社の顧客の数千の広告キャンペーン(Google広告とMicrosoft広告)のデータから、Unbounceは過去1年に分析した4万1,000を超えるランディングページのデータから、業種別の数字を出しています。

どちらも海外の会社が集めたデータで、日本の中小企業にそのまま当てはまるかは分からないので、初年度の目標は自社の前月と比べて決めます。

目標測り方目安
数えられている件数の割合問い合わせと受注のそれぞれについて、総数のうち計測で経路が分かっている件数の割合を出します問い合わせの経路の数で変わるので、電話と店頭を含める前と後を分けて、前月より上がっているかを見ます
1件あたりの獲得費用広告費÷問い合わせ数、広告費÷受注数を月ごとに出します前月より下がっているかを見ます
会議で使われた回数毎月の会議で、計測の画面を開いて判断した回数を数えます月1回です。これが0のままなら、設定は合っていても整備は終わっていません

納品物は、テストの問い合わせを送り、納品する側と一緒に確かめる

確かめること見方
設定した行動が数えられているかテストの問い合わせを自社で送り、GA4のDebugViewかタグマネージャーのプレビューで、納品する側と一緒に確かめます。標準レポートは反映まで24〜48時間かかることがあるので、DebugViewで見ます
広告のコンバージョンが計測されているか広告管理画面で、コンバージョンのステータスが「有効」と表示されているかを見ます。キーイベントをGoogle広告に取り込む設定は、反映まで最大24時間かかります
同じタグが2か所に入っていないか納品する側に、同じGoogleタグが2か所に入っていないかを確認してもらいます。2か所に入っていると、データが重複して数えられることがあります
毎月見る画面と、更新の手順書があるか誰が、いつ、何を見て、何を決めるかが納品物に含まれているかを見ます

毎月見る画面と更新の手順書が納品物に含まれているかで、設定代行と「KPI設計・レポート自動化」の違いが分かります。

ローカルグローススタジオの観点

ここまでは、どの会社にも当てはまる進め方を書きました。ここからは、私たちがKPI設計・レポート自動化を頼まれるときに、何を資産として残すかの考え方です。

顧客獲得コストを下げるには「ストック>フロー」を意識しようでは、広告のように費用がかかり続ける「フロー型」の施策と、オーガニック流入(広告を使わず、検索などから自然に来る訪問)のように一度構築すれば継続的に効果を発揮する「ストック型」の施策を分け、ストック型を優先する考え方を書いています。

元の記事が分けているのは集客の施策ですが、計測の整備も、一度整えれば毎月の判断に使われ続ける点で、元の記事のストック型の説明(一度構築すれば継続的に効果を発揮する)と同じ性質を持ちます。

ただし、資産になるのは設定そのものではなく、「何を見て何を決めるか」を書いた手順書と、手順書どおりに数字を見る会議の習慣です。

事例

自社では、週次レポートで広告の検索語とお客様候補の流入元を見て、その週にやることを1つに絞っている

自社の週次レポートは、毎週土曜の朝に社内チャットへ届きます。見ているのは、顧客管理システムに新しく登録されたお客様候補の数とその流入元、広告の費用とクリック数と問い合わせの有無、その週に初めて出た広告の検索語、社名以外の言葉での検索から来たクリック、YouTubeの視聴の5つです。

レポートの最後には、その週にやることを、かかる費用と見込める効果を添えて1つだけ挙げ、その週は触らなくてよいものも書き出します。毎週の確認は数字の動きを見ることにとどめ、広告のキーワードを止めるような判断は、月の最初の土曜に届く月次の分析で行います。

月次の分析では、広告を出している間は、広告のキーワードを、止めるもの、拾う検索の範囲を絞るもの、続けるもの、新しく足すものに分けた案を見ます。あわせて、社名以外の言葉での検索から来た訪問と記事の課題、広告のクリックから問い合わせまでのどこで人が離れているかを見ます。

2026年5月には、当時の週次レポートで見ていた数字をもとに、問い合わせにつながっていなかったキーワードの広告を止め、その予算を、業務委託のCMOのような法人向けのキーワードに移しました。広く拾う設定にしていたキーワードを、指定した語句を含む検索だけに絞ったこともあります。

自社で資産になったのは、「毎週、何を見て何を判断するか」を書いた手順書です。

自社で進められることと、相談したほうが早いこと

この記事の手順のうち、外部に頼まなくても自社で進められるものが4つあります。

  • GA4、Search Console、タグマネージャー、広告、顧客管理システムのアカウントごとに、管理者が誰かを書き出します
  • 追う指標(問い合わせ件数、商談件数、受注件数、商談化率、受注率)を整理し、直近3か月の件数を紙に書きます
  • GA4のキーイベントに問い合わせ完了を登録し、テストの問い合わせで数えられているかを確かめます
  • 補助金の対象になるかは、よろず支援拠点や商工会議所の無料相談でも聞けます

ここまでを自社でやれば、外部に頼むのは「電話や店頭の受注までの計測の設計」「顧客管理システムとサイトの計測の連携」「毎月見る画面と手順書」の3つだけです。頼む範囲が狭くなる分、見積もりの金額も下がります。

一方で、外部に頼むほうが早く進むのは次のような状況です。

  • 何が設定されているかを確かめられる人が社内におらず、確認から始める必要があります
  • 広告、サイト、営業の数字がばらばらで、問い合わせから受注までを通して見られていません
  • 毎月の会議で数字を見て判断する習慣がなく、画面と手順書ごと作る必要があります

KPI設計・レポート自動化は、必要な施策の分だけ、単発のプロジェクト発注(1か月単位から、1か月単月15万円から)でお受けする形です。ファネルの定義、計測の設定、月次の自動レポートの納品まで一緒に進めます。

詳しくはプロジェクト発注のページにまとめました。アカウントの管理者の書き出しや問い合わせ完了の登録のように、自社で進められることを試してみて、その先の設計や連携を自社で進めにくいと感じたときは、よかったらご相談ください。

参考資料

まとめ:まず問い合わせと受注が数えられているかを確かめ、外部に頼むときは毎月見る画面と更新の手順書を納品物にする

広告費が何件の問い合わせと受注になったかが分からないのは、計測の設定がないか、設定があっても問い合わせから受注までを数えられていないためです。まずは今何が数えられているかを確かめ、問い合わせ、商談、受注の件数と転換率を、追う指標として整理します。

ここまでは、無料のツールを使って、費用をかけずに自社で進められます。

電話や店頭で決まった受注がどの広告から来たかまで追うときや、顧客管理システムとサイトの計測を結ぶときは、外部に頼むほうが早く進みます。その時に納品物にするのは、設定そのものではなく、毎月の会議で開かれる画面と、それを更新する手順書です。

「ビジネス知の機会格差をなくす」という私たちのミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご連絡ください。