ローカルグローススタジオは、『地方企業にスタートアップのような成長を』というテーマで、コンテンツ発信と支援サービスを展開しています。この記事では、実践的なビジネスノウハウを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
求人を出していても、求めている人からの応募が来ないことがあります。スカウトを毎週送っても返信がなく、求人広告から来る応募には求めている人と違う人が多い、というご相談を私たちは受けています。
正社員の中途採用で、採用した人数が予定に届かない中小企業は3割を超えます。日本政策金融公庫総合研究所の調査(2026年3月中旬時点)では32.4%でした(採用者数と採用予定者数の両方に答えた2,389社)。
三大都市圏以外の会社では、応募の数そのものが採用予定を上回らない会社の割合も、三大都市圏より高くなっています。同じ調査で、中途採用の応募者数が採用予定者数を上回った会社は、三大都市圏の68.8%に対して、三大都市圏以外では58.0%で、10ポイント以上低くなっていました。
求めている人からの応募が来ないときは、求めている人の条件を面接の質問と評価基準として書き出し、直近の募集を、求人の閲覧、応募、書類選考、面接、内定、入社の段階ごとの数と、媒体ごとの費用で並べるところから始めます。
どの段階で人が減っているかが分かれば、媒体、求人での伝え方、面接、内定のときの条件の伝え方のどれを直すかを決められます。
この記事は、「採用プロセス設計」について、2種類の読者に向けて書きました。採用プロセス設計は、応募から入社までの段階ごとに目標の数字を置き、媒体の選び方、面接の質問と評価基準、給与テーブルとの照合の手順を決め、会社の説明資料と内定のときに渡す書面を作る作業を指します。
1つは、採用プロセスを見直すと何が変わるのか、まだイメージを持てていない方です。もう1つは、イメージはあるものの、自社でできるのか、外部の専門家に頼むべきか迷っている方です。
前半は、まだイメージを持てていない方に向けて、私たち(ローカルグローススタジオを運営するつなぐスタジオ)が採用プロセス設計で作るものとこれまでに納めたもの、見直しで決まること、費用をかけずに始める進め方を書きました。
後半は、自社でできるか迷っている方に向けて、自社で進める範囲と外部に頼む範囲の境目、外部への頼み方、費用、納品物の確かめ方を書きました。
この記事で分かること
まだイメージがない方向け
- 媒体ごとの費用対効果の記録や、採用プロセス改善のご提案などの私たちの支援事例の紹介
- 採用プロセスを設計すると、人が減っている段階が分かる
- 目的は、求めている人が離れている段階を見つけ、その段階を直すこと
- まず、直近の募集を媒体ごとに、閲覧から入社までの数と費用で並べる
イメージはあるが次の一手に迷う方向け
- 段階ごとの記録と評価基準づくりまでは自社ででき、評価をそろえる人がいなければ専門家に頼む
- 段階ごとの数の記録を自社で作れるなら助言を、直す段階を決めきれないなら設計を頼む
- 自分でやるなら、ExcelやGoogleスプレッドシートで、費用をかけずに始められる
- 目標は、段階ごとの通過率と媒体ごとの採用単価を、前回の募集と比べて決める
- 納品物は、面接の質問が評価基準とつながっているかと、聞いてはいけない事項がないかで確かめる
1. 採用プロセスを設計すると、人が減っている段階が分かり、選考の基準と内定で伝えることが決まる
採用プロセス設計で作るのは、段階ごとの目標の数字から給与テーブルとの照合の手順までの6つ
採用プロセス設計で私たちが作るものは、次の6つです。
| 作るもの | 中身 | できるようになること |
|---|---|---|
| 段階ごとの目標の数字 | 採用したい人数から逆算した、応募、面接、内定の各段階の数です | どの段階で人が減っているかが分かり、媒体と面接のどちらを先に直すかを決められます |
| 媒体の選定と記録 | 職種と経験の層に合わせて選んだ媒体と、媒体ごとの応募数と費用の記録です | 次の募集で、どの媒体にいくら使うかを決められます |
| 面接の設計 | 面接の回ごとの担当者、質問、評価基準です | 面接官が変わっても、同じ基準で次の選考に進めるかを決められます |
| カルチャーデック | 応募を考えている人に向けて、事業、働き方、価値観、選考の流れをまとめた会社の説明資料です | 面接官が同じ説明をでき、候補者は応募の前に会社を知ることができます |
| オファーレターのひな型 | 内定のときに、条件と一緒に、面接で評価したことと期待する役割を伝える書面です | 内定を受けた人に、条件のほかに入社を判断する材料を渡せます |
| 給与テーブルとの照合の手順 | 職種と等級ごとの給与の基準と、内定の条件を照らし合わせる手順です | 中途で入る人の給与を、今いる社員に説明できる額で決められます |
給与テーブルは、職種、経験年数、役職などに応じて、給与の基準を定めた表です。
私たちは、媒体ごとの費用対効果の記録と、採用プロセス改善のご提案を納めてきた
私たちは、採用を支援している製造卸の会社に、求人媒体の選定と、媒体ごとの費用対効果の記録を納めています。
人材紹介でご支援している会社には、選考の入口のスクリーニング、カルチャーフィット面談、合議のルールを含む、採用プロセスの改善のご提案を納めました。
2. 何を目的にするか
目的は、求めている人が応募から入社までのどの段階で離れているかを見つけ、その段階を直すこと
採用プロセスの見直しで最初に決めるのは、どの段階を直すかです。応募が足りないのか、応募はあっても選考を通る人がいないのか、内定を出しても辞退されるのかで、直すところが変わります。
人が減っている段階ごとに、見直すことは次のように分けられます。
| 人が減っている段階 | 見直すこと |
|---|---|
| 求人がほとんど見られていない | 媒体の選び方、検索で見つかるための設定、求人のタイトルです |
| 見られているが応募が少ない | 求人に書いた仕事の内容と条件、会社の説明です |
| 応募はあるが書類選考を通る人が少ない | 求めている人の条件と、その媒体で出会える人の経験が合っているかです |
| 面接の途中で辞退される | 面接官の説明の仕方と、選考の回数と期間です |
| 内定を出しても承諾されない | 内定のときに伝える条件、面接で評価したこと、入社後の役割です |
| 入社してすぐに辞める | 面接で伝えた仕事の内容と実際の仕事との差と、面接の評価基準です |
任せる仕事は、求人から内定まで同じ言葉で伝える
求人、会社の説明資料、面接では、任せる仕事の内容を同じ言葉で伝えることをおすすめしています。転職する人は仕事の内容を見て勤め先を選び、入社してから仕事の内容が思っていたものと違えば、それが辞める理由になることがあるためです。内定のときも、面接で評価したことと期待する役割をオファーレターに書き、任せる仕事を同じ言葉で伝えます。
厚生労働省の令和7年転職者実態調査(2025年10月1日現在、個人調査の有効回答7,310人、3つまでの複数回答)でも、転職した人が今の勤め先を選んだ理由で最も多かったのは「仕事の内容・職種に満足がいくから」の40.2%で、次が「自分の技能・能力が活かせるから」の38.4%でした。
同じ調査で、自己都合で前の勤め先を辞めた人の理由(3つまでの複数回答)は、「賃金が低かったから」の25.5%と「会社の将来に不安を感じたから」の25.2%に次いで、「満足のいく仕事内容でなかったから」が24.7%で3番目に多くなっています。
3. どこから始めるか
まず、直近の募集を媒体ごとに、閲覧、応募、書類選考、面接、内定、入社の数と費用で並べる
採用プロセスの見直しは、直近の募集の記録を1つの表に並べるところから始められます。ExcelやGoogleスプレッドシート1枚で作れます。
1. 媒体ごとに1行を作り、職種、掲載した期間、費用の総額を書きます
2. 媒体の管理画面で分かる場合は、求人の閲覧数を書きます
3. 応募数、書類選考を通った数、面接をした数、内定を出した数、入社した数を書きます。人材紹介と社員からの紹介も、1行ずつ分けます
4. 段階ごとに、前の段階から次に進んだ割合(通過率)を出します
5. 費用の総額を入社した人数で割り、媒体ごとの採用単価(1人を採るのにかかった費用)を出します
応募の数だけでは、その媒体が自社の募集に合っているかを判断できないため、書類選考から入社までの数も並べます。
応募の記録や選考のメモをChatGPTやClaudeなどのAIに読ませて、媒体ごと、段階ごとの数を数えさせることもできます。応募者の名前や連絡先が入った記録を読ませる時は、どの情報ならAIに入力してよいかを、先に社内で決めておきます。
たとえば前回の募集で、応募から面接に進んだ割合が3分の1、面接から内定が4分の1、内定の承諾が2分の1だった場合、1人を採るには応募が24件要る計算です。この割合は職種や媒体で変わるので、自社の前回の募集の数字を使います。
次に、求めている人の条件を、面接で確かめる質問と評価基準にして書き出す
採用面接官として誰を置く?では、面接評定シートに、ビジョンフィット、カルチャーフィット、スキルフィットの3つの欄と、その他の評価項目(コミュニケーション能力、論理的思考力など)の欄を置き、1から5の段階で評価を付ける例を紹介しました。
ビジョンフィットは会社のビジョンに共感しているか、カルチャーフィットは価値観や働き方が会社の文化に合うか、スキルフィットは必要なスキルや経験を持っているかを見る欄です。
求めている人の条件を、この3つの欄ごとに書き出し、それぞれを確かめる質問を決めておくと、面接官が変わっても同じ基準で評価できます。質問と評価基準を面接の前に決めておく進め方は、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」にも、仕事に必要な適性と能力を評価するための方法として載っています。
質問は、確かめたいことごとに、仕事の場面での経験を聞く形にします。たとえば次のような質問です。
| 確かめたいこと | 質問 |
|---|---|
| 曖昧さへの耐性 | 情報が不十分な中で意思決定を迫られた経験と、そのときどう動いたか |
| 合意の作り方 | 自分の意見とチームの方針が異なったとき、どのように対応したか |
| 失敗への向き合い方 | 直近で最も大きく失敗した経験と、そこから何を得たか |
| 仕事を取りに行く姿勢 | 役割や指示が明確でない環境で、自ら動いた経験 |
面接の質問と応募書類からは、適性や能力と関係のない事項を外す
面接の質問と応募書類には、応募者の適性や能力と関係のない事項を入れません。採用の基準にしないつもりでも、書かせたり尋ねたりして知れば採否に影響し、就職差別につながるおそれがあるためです。入れない事項と避ける方法は、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」に、次の3つの区分でまとめられています。
- 本人に責任のない事項です。本籍・出生地、家族(職業、続柄、健康、学歴、収入など)、住宅の状況、生活環境や家庭環境が当たります
- 本来自由であるべき事項です。宗教、支持政党、人生観や生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や社会運動、購読している新聞や雑誌、愛読書が当たります
- 採用選考で避ける方法です。身元調査、適性や能力と関係のない事項を含む応募書類、合理的で客観的な必要性が認められない健康診断が当たります
会社の価値観に合うかを確かめるときも、人生観や尊敬する人物は尋ねません。面接の質問の例に挙げたように、仕事の場面でどう動いたかを聞いて確かめます。
応募書類も同じ考え方で見直します。会社が独自の応募用紙を作るときは、適性と能力に関係のない項目を入れません。新規学卒者以外の応募者に書いてもらう履歴書には、厚生労働省が公開している「厚生労働省履歴書様式例」を使うこともできます。
面接の質問と評価基準は、性別で分けずに決めます。男女雇用機会均等法は、募集と採用で、性別にかかわりなく均等な機会を与えることを事業主に求めています(第5条)。
カルチャーデックには、良い面だけでなく、仕事の難しさと、その分得られる醍醐味も書く
自社の文化を伝えるカルチャーデックを作成・公開しようでは、カルチャーデックを、応募を検討している人に向けて、事業内容だけでなく、働き方や文化、組織の価値観まで説明する資料として紹介しました。
同じ記事では、こうした資料が整っていない採用活動で起きることの1つに、候補者が入社後に「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じることを挙げています。
採用面接官として誰を置く?では、面接で自社を説明するときに、良いことだけでなく難しさも伝えると、候補者が現実的な期待を持って入社を判断でき、入社後のギャップが少なくなると書きました。良い面だけを伝えると、入社後に「聞いていた話と違う」と感じられ、早期離職につながる可能性があるためです。
面接官の記事では、難しさと醍醐味を両方伝える例を、次の2つ挙げました。
| 会社の例 | 難しさ | 醍醐味 |
|---|---|---|
| スタートアップ | 役割分担が決まっていない中で、さまざまな業務を任される可能性があり、業務の範囲が曖昧で戸惑うこともあるかもしれません | 自分で考えて動き、新しい仕組みを作っていく経験ができ、自分のアイデアを形にする機会が多くあります |
| 地方企業 | 都市部と比べて、最新のビジネストレンドやツールの情報が入りにくいことがあります | 地域に根差した事業で、お客様との距離が近く、自分の仕事が地域社会に直接貢献している実感を得られます |
面接官の記事では面接で伝える例として挙げましたが、私たちは、自社の場合の難しさと醍醐味をカルチャーデックにも書いておくことをおすすめしています。カルチャーデックに書いておくと、候補者は応募の前に両方を知ることができ、面接官が変わっても同じ内容を伝えられます。
応募が減ったときは、応募数を閲覧数と応募率に分けて、前回の募集と比べる
応募数は、求人の閲覧数と、閲覧した人のうち応募した人の割合(応募率)に分けられます。媒体の管理画面で閲覧数が分かる場合は、同じ職種の前回の募集と、閲覧数と応募率をそれぞれ比べます。
閲覧数が減っていれば、本文の書き方より先に、検索で見つかるための設定、求人のタイトル、一番上に出る写真を見直します。応募率が下がっていれば、求人に書いた仕事の内容と条件を見直します。
4. どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか
記録と評価基準づくりまでは自社ででき、評価をそろえる人が社内にいなければ専門家に頼むと早い
直近の募集を段階ごとの数と費用で並べ、求めている人の条件を面接の質問と評価基準として書き出し、媒体ごとに書類選考を通った割合を比べるところまでは、自社で進められます。スカウトを毎週送っても返信がなく、求人広告から来る応募には求めている人と違う人が多い会社も、ここから始められます。
応募が以前より減った場合も、閲覧数と応募率に分けて以前の募集と比べることは、自社でできます。閲覧数が減った理由が媒体の設定にありそうなときは、媒体の担当者に分析を相談します。
採用した人が、社内の仕事の進め方に合わずに早い時期に辞めた場合は、面接の評価基準に、応募者が社内の仕事の進め方に合うかを見る項目があったかを確かめます。どの質問で確かめるかを社内で決めきれないときや、職種が多く面接官ごとに評価が分かれていて、基準をそろえる人が社内にいないときは、面接の設計を専門家に頼むと早く進みます。
記録をつける人も、スカウトや応募の対応をする人も社内にいない場合は、続ける人手が足りないので、スカウトの送信や応募の対応と、その記録を代行に頼むと早く進みます。
記録の更新と評価のすり合わせを社内で続けられれば自社で進め、続けられなければ外に頼む
| 選択肢 | 向いている会社 | 進め方と注意点 |
|---|---|---|
| 自分で進める | 採用する職種が少なく、社長が面接のすべてに出ている会社です | 直近の募集を段階ごとの数と費用で並べ、求めている人の条件を評価基準として書き出します |
| 社内で担当者を決める | 毎年続けて採用し、現場のマネージャーも面接に出ている会社です | 記録を更新する担当者と時期を決め、面接官が集まって評価をすり合わせる場を定例にします |
| 外に頼む | 職種が多く面接官ごとに評価が分かれる会社、採用した人が早く辞めることが続く会社、記録をつける人が社内にいない会社です | 設計の結果だけを受け取ると、次の募集で記録を続ける方法が社内に残りません。記録の表と更新の手順も納品物に含めるよう頼みます |
5. 外部に頼むときの3つの頼み方
段階ごとの記録を自社で作れるなら助言を頼み、直す段階を決めきれないなら設計から頼む
採用プロセスの見直しを相談できる相手には、採用コンサルティング会社、採用代行(RPO。採用の業務を外部に任せるサービス)の会社、人材紹介会社があります。頼み方は、大きく次の3つに分かれます。
| 頼み方 | 何を頼むか | 納品物 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 記録と見直しへの助言 | 自社で作った段階ごとの記録と面接の評価基準を見てもらい、直す場所を指摘してもらいます | 助言の記録です。記録と評価基準は自社で作ります | 段階ごとの記録まで自社で作れる会社です |
| 採用プロセスの設計 | 段階ごとの目標の数字、媒体の選定、面接の設計、カルチャーデック、オファーレター、給与テーブルとの照合までを一緒に進めます | 段階ごとの目標の数字と記録の表、媒体の選定と媒体ごとの費用の記録、面接の質問と評価基準、カルチャーデック、オファーレターのひな型、給与テーブルとの照合の手順です | 記録はあるが、どこを直すかを社内で決めきれない会社です |
| 設計と運用の代行 | 設計に加えて、スカウトの送信、応募の対応、面接の日程調整までを任せます | 上の納品物に加えて、週ごとの選考の進み具合の記録です | 採用の担当者がいない会社、急いで人を採りたい会社です |
私たちの採用プロセス設計は、このうちの「採用プロセスの設計」に当たります。スカウトや応募の対応を任せたいときは、個別のプロジェクトの1つである採用代行のメニューでお受けしています。
面接の日程調整や応募者の記録を外部に頼むときは、渡す情報を絞り、外部での管理の方法を確かめる
面接の日程調整や応募者の記録を外部に頼むときは、渡す情報をその業務に必要なものに絞り、外部での管理の方法を契約の前に確かめます。応募者の個人情報は、採用の目的に必要な範囲で集めて使い、適正に管理することが、職業安定法で求められているためです(第5条の5)。
頼む前に、直近の募集の記録と求めている人の条件を用意し、面接官と最終判断をする人、年収の上限を決めておく
| 用意しておくもの | 中身 |
|---|---|
| 直近の募集の記録 | 媒体ごとの掲載期間、費用、応募数、面接数、内定数、入社数です。分からない段階は空けておきます |
| 求めている人の条件 | 職種ごとに、必要な経験と、会社の価値観や働き方に合うかを見る条件を書きます |
| 面接官と、最終判断をする人 | 面接の回ごとの担当者と、面接官が話し合って決めるか、代表が決めるかです |
| 年収の上限 | 職種ごとの年収の上限と、給与テーブルがあればその等級です |
| 採用した人と辞めた人の話 | 入社して活躍している人と、早く辞めた人が、選考のどこでどう見えていたかです |
6. 費用
自分でやるときは、ExcelやGoogleスプレッドシートで、費用をかけずに始められる
段階ごとの記録と面接評定シートを作るのに必要なのは、スプレッドシートだけです。採用媒体の有効な活用ステップでは、無料のプランがある採用管理システム(応募者の情報と選考の進み具合をまとめて管理するサービス)も紹介しました。
応募書類と面接の質問を見直すときに参考にできる「公正な採用選考の基本」と「厚生労働省履歴書様式例」も、厚生労働省のサイトで無料で見られます。
私たちは採用プロセス設計を個別のプロジェクトとしてお受けし、どの形が合うかは無料相談で決める
私たちがお受けしている採用のご依頼は、成果報酬型の人材紹介契約から、採用体制を改善する個別のプロジェクトまでです。
採用プロセス設計は個別のプロジェクトとしてお受けし、段階ごとの目標の数字から、媒体の選定、面接の設計、カルチャーデック、オファーレター、給与テーブルとの照合まで、私たちが進行を管理しながら一緒に進めます。
どの形が合うかは、まず無料相談でお話を伺ってから決めています。
7. 目標にする数字と、納品物の確認のしかた
目標は、段階ごとの通過率と媒体ごとの採用単価を、前回の募集と比べて決める
段階ごとの通過率は、職種、媒体、会社がどれだけ知られているかで変わります。そのため目標は、見直す前の自社の数字を出しておき、それと比べて決めます。
| 目標 | 測り方 | 見方 |
|---|---|---|
| 書類選考を通った割合 | 媒体ごとに、応募のうち書類選考を通った数を数えます | 割合が低い媒体は、求めている人と出会える媒体かを見直します |
| 内定を承諾した割合 | 内定を出した数のうち、承諾された数を数えます | 辞退の理由を聞いて記録し、オファーレターと面接での説明を直します |
| 入社した人の定着 | 試用期間の終わりなど、社内で決めた時点で在籍しているかを記録します | 早く辞めた人がいれば、面接で伝えた仕事の内容と実際の差を確かめます |
| 媒体ごとの採用単価 | 費用の総額を入社した人数で割ります | 前回の募集と比べ、費用が上がった媒体の使い方を見直します |
納品物は、質問が評価基準とつながっているか、聞いてはいけない事項がないか、内定の条件が求人と合っているかで確かめる
| 確かめること | 見方 |
|---|---|
| 記録を社内で続けられるか | 記録の表の項目と、誰がいつ更新するかが決まっているかを見ます |
| 面接の質問が評価基準とつながっているか | 評価基準の項目ごとに、確かめる質問が決まっているかを見ます |
| 聞いてはいけない事項が入っていないか | 応募書類と面接の質問に、本籍、家族、人生観、尊敬する人物などが入っていないかを見ます |
| 内定の条件が給与テーブルとそろっているか | 提示する給与が、同じ等級の社員の基準と合っているかを見ます |
| 内定の書面が労働条件の明示とそろっているか | オファーレターの条件が、求人で示した条件と、契約のときに書面で示す労働条件の両方と合っているかを見ます |
内定を受けた人は、求人とオファーレターの条件を見て入社を決めます。契約の書面で条件が変わると、入社を決めたときと違う条件で働くことになるので、オファーレターの条件は、求人の条件と、契約のときに書面で示す労働条件の両方と照らし合わせます。
労働契約を結ぶときは、契約の期間、就業の場所と従事する業務、始業と終業の時刻や休日、賃金の決め方と支払い方、退職に関することなどを書面で示す必要があります(労働基準法第15条、施行規則第5条)。募集のときに示した業務の内容や賃金などを変えて契約する場合は、変える内容も示す必要があります(職業安定法第5条の3)。
ローカルグローススタジオの観点
カルチャーデックの記事で、私たちは採用活動をマーケティング活動に似たものとして書きました。マーケティングで広告にお金を使う前に、お客様がサービスを知って問い合わせできるサイトを整えるのと同じように、採用でも、求人や媒体に費用をかける前に、候補者が自分で会社を知ることができるカルチャーデックを整えます。
同じ記事では、サイトを訪れた人のうち応募に至る割合、カジュアル面談を受けた人のうち選考に進む割合、一次面接を受けた人のうち内定を承諾する割合を挙げ、カルチャーデックを充実させるとこれらの割合を高められると書いています。私たちが段階ごとの記録から始めるのは、この割合を見るためです。
内定承諾率を高めるオファーレターの活用法では、採用活動には候補者を見極める選考活動と、会社の魅力を伝えるアピール活動の2つの軸がある、と書きました。面接の質問と評価基準は選考活動に、カルチャーデックとオファーレターはアピール活動に当たります。
給与テーブルの作り方では、年収の高い業界や経験を持った人を中途採用するときに、前職の年収をもとに基本給を決めると、もとからいる社員より高い給与水準になり、不公平感が生まれる例を書きました。内定の条件を給与テーブルと照らし合わせるのは、このためです。
自社で進められることと、相談したほうが早いこと
直近の募集の記録を並べること、求めている人の条件を評価基準と質問にすること、応募書類と面接の質問を見直すことは、専門家に費用を払わずに自社で進められます。
- 直近の募集を、媒体ごとに、閲覧、応募、書類選考、面接、内定、入社の数と費用で並べます
- 段階ごとの通過率と、媒体ごとの採用単価を出します
- 求めている人の条件を、ビジョンフィット、カルチャーフィット、スキルフィットの欄ごとに書き、確かめる質問を決めます
- 応募書類と面接の質問に、適性や能力と関係のない事項が入っていないかを確かめます。避ける事項は、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」にまとめられています
ここまでを自社でやれば、外部に頼むのは次の4つに絞れます。直す段階と媒体を決めること、面接を設計すること、カルチャーデックとオファーレターを作ること、内定の条件を給与テーブルと照らし合わせることです。頼むことが少なくなる分、見積もりも小さくなります。
一方で、外部に頼むほうが早く進むのは、次のような状況です。
- 職種が多く、面接官ごとに評価が分かれていて、基準をそろえる人が社内にいないときです
- 採用した人が早い時期に辞めることが続き、選考のどこを直すかを決めきれないときです
- 記録をつける人も、スカウトや応募の対応をする人も、社内にいないときです
私たちは採用プロセス設計を、採用体制を改善する個別のプロジェクトとしてお受けし、段階ごとの目標の数字と記録の表、媒体の選定と媒体ごとの費用の記録、面接の質問と評価基準、カルチャーデック、オファーレターのひな型、給与テーブルとの照合の手順を納品します。
人材紹介での採用が向いている職種には、成果報酬型の人材紹介契約(タレントグローススタジオ、手数料は理論年収の25%)で候補者を紹介します。理論年収は、月給の12か月分に賞与などを足した年収です。
詳しくはプロジェクト発注のページにまとめました。直近の募集の記録を並べてみて、どの段階を直すかを決めるところで手が足りないと感じたときは、まずは無料相談でお話を聞かせてください。
参考資料
- 自社の記事: 採用面接官として誰を置く?、自社の文化を伝えるカルチャーデックを作成・公開しよう、内定承諾率を高めるオファーレターの活用法、給与テーブルの作り方、採用媒体の有効な活用ステップ
- 日本政策金融公庫総合研究所 中小企業における従業員の採用・定着に関する調査(2026年6月19日。調査時点2026年3月中旬、有効回答4,123社)
- 厚生労働省 令和7年転職者実態調査の概況(2025年10月1日現在。個人調査の有効回答7,310人)
- 厚生労働省 公正な採用選考の基本
- 職業安定法(第5条の3、第5条の5)
- 労働基準法(第15条)、労働基準法施行規則(第5条)
- 男女雇用機会均等法(第5条)
まとめ:求めている人の条件を評価基準にし、応募から入社までの段階の数字で直す場所を決める
求めている人からの応募が来ないときは、応募の数を増やす前に、求めている人がどの段階で離れているかを確かめます。求人が見られていないのか、見られても応募されないのか、選考や内定で離れているのかで、直すところが変わります。
最初の一歩は、直近の募集を媒体ごとに、閲覧、応募、書類選考、面接、内定、入社の数と費用で並べることです。あわせて、求めている人の条件を面接の質問と評価基準にして書き出します。ここまでは費用をかけずに自社で進められます。
面接官ごとに評価が分かれて基準をそろえる人がいないときや、採用した人が早く辞めることが続くときは、外部に頼んだほうが早く進みます。頼む前に、直近の募集の記録と求めている人の条件を用意し、最終判断をする人と年収の上限を決めておきます。
納品物は、面接の質問が評価基準とつながっているか、聞いてはいけない事項が入っていないか、内定の書面が給与テーブルと労働条件の明示の両方とそろっているかで確かめます。目標は、段階ごとの通過率と媒体ごとの採用単価を、前回の募集と比べて決めます。
「ビジネス知の機会格差をなくす」という私たちのミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご連絡ください。

執筆者 : 佐久間 一己 (さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカルグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャーを経て、福井県小浜市で道の駅・古民家ホテルの集客支援と行政の産業6次化に4年携わり、その後ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ執行役員、フィンテック事業責任者を務め、2025年に地方企業向けのマーケティング代理店を設立。BtoB事業でWEBメディアを立ち上げオーガニック流入を3か月で20倍に伸ばすなど、知名度や予算が限られる時期に効くマーケティングと採用の手法を、地方企業の規模に合わせて伴走します。


