AIをどの業務に使えばいいか分からないときは、業務ごとの使い方を決めるところから|AIの実装と研修の発注ノウハウ

ローカルグローススタジオは、『地方企業にスタートアップのような成長を』というテーマで、コンテンツ発信と支援サービスを展開しています。この記事では、実践的なビジネスノウハウを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

AIを試したいと思っても、どの業務に使えばいいかが分からず、手が止まることがあります。2026年版中小企業白書でも、AIを業務で活用していない理由で最も多かったのは「活用する業務がイメージできていない」でした。

使い道は、自社の業務で実際にAIに作業をさせ、時間が短くなった作業を確かめていくと見えてきます。AIの実装と研修は、その結果をもとに業務ごとの使い方を決め、手順書や、集計やレポートを自動で行う仕組みとして社内に残すための支援です。

この記事は、「AIの実装と研修」について、2種類の読者に向けて書きました。1つは、AIで何ができるのか、まだイメージを持てていない方です。もう1つは、イメージはあるものの、自社でできるのか、外部の専門家に頼むべきか迷っている方です。

この記事で分かること

まだイメージがない方向け

  • 週次レポートや問い合わせの仕分け、事業データのダッシュボードづくりなどをAIに任せた、私たちの事例の紹介
  • ブラウザで使うAIだけでも、調べもの、推敲、資料の要約を任せられる
  • 毎回の集計や転記と、外注していた制作は、Claude Codeに任せられる
  • AIを使う目的は、任せる作業を決め、その作業にかけていた時間を空けること
  • まず、繰り返し作る資料と毎回の入力をAIに任せてみる

イメージはあるが次の一手に迷う方向け

  • AIに入力してよい情報のルールづくりと資料集めまでは自社ででき、基幹システムとの連携と手順書づくりは外部に頼むと早い
  • 頼み方は、研修、実装の代行、Claude Codeの設定支援の3つから、納品物を見て選ぶ
  • 自社でやるなら、月に数千円のツール代から始められる
  • デジタル化・AI導入補助金では、研修は単独では対象にならず、対になるソフトウェアの導入と一緒に申請すると対象になる
  • 初年度の成果は、作業時間が短くなったか、外注していた制作を自社で作れたか、AIの使い方が社内に定着したかで見る
  • 納品物は、自社の担当者だけで動かし続けられるかで確かめる

1. 私たちは、集計、仕分け、転記の作業と、以前なら外注していた制作をAIに任せている

質問に答えるAIと、パソコンの中で作業を実行するAIの2種類に分けて考える

AIは、最初に2種類に分けて考えると分かりやすくなります。1つは、ChatGPT、Claude、Geminiのように、ブラウザで質問して答えをもらうAIです。

もう1つは、Claude Code、Codex、Gemini CLIのように、自分のパソコンの中で動き、フォルダのファイルを読み、集計し、ページを作り、決まった時刻に作業を実行するAIです。

後者は、黒い画面(ターミナル)で動かすため難しそうに見えますが、指示は日本語の文章で足ります。2種類の違いは、【前編】Claude Codeとは?聞いて答えるAIから、実行してくれるAIへの進化。15の使い方実例(以下、前編)に詳しく書きました。

Claude Codeには、毎回の集計や転記と、外注していた制作を任せられる

次の表は、前編に書いた15の使い方から選んだ8つです。どれも、業務ごとの専用SaaS(月額で使うクラウドのソフト)を契約せずに作りました。

ダッシュボードのためのBIツール(経営データを図にするツール)、営業管理のためのSFA(営業支援ツール)、レポートのための集計ツールが、専用SaaSの例です。

作ったもの何をしたか何が変わったか
週次のマーケティングレポート(自社)Search Console(検索の表示回数)、GA4(サイトの訪問)、Google広告、YouTubeのデータを自動で集計し、毎週土曜の朝に社内チャットへ先週の流入と問い合わせの状況を届けます週1回の確認で、問い合わせ率(サイトの訪問のうち問い合わせに至った割合)を上げられる箇所や、反応のよいYouTubeの回に気づけるようになり、次の施策を決めるきっかけにしています
事業データのダッシュボード(支援先に代わって作成)支援先の受注、営業、顧客のデータを読み込み、セグメント(顧客や商品の区分)別、指標別に集計する画面をClaude Codeで作りました経営の数字を1つの画面で見られるダッシュボードを、専用のBIツールを契約せずに作って納めました
問い合わせフォームの仕分け(自社)フォームに届く問い合わせと営業の売り込みを全件読み、商談につながりそうな問い合わせ、情報を集めている段階の問い合わせ、返信の必要がない売り込みの3つに分け、返信の下書きを社内チャットに置きました売り込みに紛れた、商談につながる問い合わせを見落とさず、返信に早く取りかかれるようになりました
営業リストと文面の生成(自社)新しく営業を始める地域のベンチャーキャピタル45社とスタートアップ50社を調べて営業リストにし、相手に合わせた挨拶文のたたき台を作りました半日で、95社分の営業リストと文面がレビューできる状態になりました
求人原稿の自動掲載(自社の人材紹介事業)企業からもらった求人票のPDFを読み取り、職種、勤務地、年収、必要スキルを整理して、WordPressの求人ページを自動で作りますPDFを開いて管理画面に1項目ずつ入力する作業がなくなりました
評価制度のたたき台(支援先の地方の製造業)過去のヒアリング記録と事業資料を読み込ませ、その会社の文化に合った等級表と評価制度のたたき台を作りました等級表と評価制度を、一般的な制度の例ではなく、その会社のヒアリング記録と事業資料に沿ったたたき台として用意しました
長期プロジェクトの資料の棚卸し(自社)フォルダの資料を全部読み、現状の体制、KPI(目標にしている数字)、残りの作業を1つの資料にまとめます中断していたプロジェクトを、数十のファイルを読み直さずに再開できます
データからページを自動で作るサイト(自社で試したもの)データを表の形に整え、そこから1万ページ超を自動で作るサイトを27日で立ち上げ、月次で全件を更新しました1ページずつ書いていた制作を、データからページを自動で作るやり方に置き換えられることを確かめました

サイトの実装、ダッシュボード、評価制度のたたき台のように、以前なら外部に発注していた仕事も含まれます。私たちはClaude Codeを1人で運用しています。

ブラウザで使うAIだけでも、調べもの、推敲、資料の要約を任せられる

Claude Codeを使う前に、ChatGPTやClaudeのように、ブラウザで使うAIだけでできることがあります。私たちが日々使っている場面を1人起業や地方企業でも使えるAI活用の具体事例7選に書きました。そこから、実際の質問の例と一緒に引用します。

場面実際の使い方補足
法律や経理のルールの確認「飲食店を開業するのに必要な許認可を教えてください。福岡県で開業予定です」「取引先との打ち合わせで使ったカフェ代3,000円は、どの勘定科目で処理すればよいですか」と聞きます基礎を先に押さえてから専門家に聞くと、相談の時間が短く済みます。最終的な判断の前に、税理士や弁護士に確認します
ツールの選定と、サイトの実装「建設業向けのマーケティングサイトを作りたいです。WordPressの無料テーマでおすすめはありますか」と聞き、「WordPressのCocoonテーマで、GA4のタグを埋め込む方法を教えてください」のような細かな質問もします使っているツール名、エラーメッセージがあれば全文、実現したい動作を添えると、そのまま使える答えが返ってくることが多くなります
文章の推敲「専門用語に注釈を加える」「長い文章を短く分割する」「具体例を追加すべき箇所を指摘する」と頼みますまず自分で書いてから頼みます。丸投げはしません
テーマ別の情報の蓄積会話をテーマ別にまとめる「プロジェクト」の機能で、経理・法務、マーケティングのように3つから5つ程度に分け、自社の情報を最初に登録します新しいチャットでも文脈を引き継げます
複数の記事や動画の要約Googleの資料読み込みツールNotebookLMに記事や動画を10個ほど登録し「地方企業がM&Aで成長するために、最も重要なポイントを3つにまとめてください」と聞きますリサーチの時間が短くなります

業務ごとに、ブラウザ版で今日からできることと、Claude Codeが必要なことを分ける

上の実例を、中小企業に多い業務に当てはめると次のようになります。表の真ん中の列はChatGPTやClaudeで今日からできること、右の列はClaude Codeかデータの連携が必要なことです。

業務ChatGPTやClaudeに頼めることClaude Codeで作れるもの
見積と請求見積書の文面の下書き、貼り付けた過去の見積書の条件を比べた表見積書のPDFから読み取った内容を並べた表、過去に納めた品目の検索
顧客管理と営業営業メールの下書き、商談メモの要点整理、提案書の構成案問い合わせの自動仕分け、営業リストの作成、HubSpotなど顧客管理システム(CRM)に登録されたデータの整理
採用求人票の下書き、面接の質問案求人票のPDFから作る採用ページ、応募から面接、内定までの通過率の集計
販促とWeb記事の推敲、SNS投稿の案出し、競合サイトの要約サイトの構築、週次の流入レポート
経営の数字貼り付けた月次の数字が前月とどう違うかの説明売上ダッシュボード、受注と在庫と顧客のデータをまとめた集計
経理と法務仕訳の科目の確認、契約書の条文の意味、補助金の要件の整理請求書や注文書の読み取りと基幹システムへの連携
社内の情報整理議事録の要約、マニュアルの下書き複数のフォルダにまたがる社内資料の検索、引き継ぎ資料の作り直し

右の列は、自社のデータをAIに読ませる作業が入るため、自社でできるか外部に頼むかを決める必要が出てきます。

2. 何を目的にするか

目的は、AIに任せる作業を決め、その作業にかけていた時間を空けること

AIに任せる作業は、AIが得意な作業から選びます。前編で整理したとおり、Claude Codeが得意なのは、ダッシュボードの構築、データのリサーチ、サイトの設計と実装、定型レポートの自動化、長文の整理や社内資料の検索です。SNS投稿の言葉選びのような感性が必要な作業は、AIの案を人が判断する前提で使います。

集計、下書き、調べもの、転記のように毎回ゼロからやっていた作業は、AIに任せると時間が短くなり、空いた時間で別の仕事ができます。私たちの例では、求人票のPDFから求人ページを自動で作るようにして、管理画面に1項目ずつ入力する作業がなくなりました。

AIに作業を任せて時間が空き、調べものや下書きもAIでできるようになると、次の2つが起きます。1つは、経理の担当がいなくても仕訳を確かめられ、マーケティングの担当がいなくても記事を推敲できるようになり、少人数でも複数の専門分野の仕事を受け持てることです。

もう1つは、サイト、ダッシュボード、求人ページのように、外注していたものを自社で作れるようになることです。

情報処理推進機構(IPA)が大企業を含む国内企業を対象に行った2025年度の調査では、AIを導入して効果があったと答えた853社のうち、「業務が効率化したり迅速化した」を挙げた会社が91.6%で、「売上や利益が向上した」は3.9%でした。

IPAは調査全体の結果から、国内企業のDXは普及し、AIの導入も広がっている一方で、業務効率化の段階から新たな価値創出やビジネス変革へ発展させることが今後の重要な課題だとしています。

そのため私たちは、初年度は対象の作業にかかる時間を導入の前と後で比べるだけでなく、空いた時間で何をするかまで先に決めておくことをおすすめしています。使い道を決めておくと、作業が速くなったことにとどまらず、少人数で複数の分野の仕事を受け持つことや、外注していた制作を自社で作ることにつなげられます。

分担は、人が決め、AIが形にし、人が仕上がりを判断する

AIと人の分担を、前編では「0→1」「1→9」「9→10」の3段階で整理しました。何を作るか、誰のために作るかを決める「0→1」は人が担います。

「いい感じのメディアを作って」と頼むだけではうまくいきません。最初の基準を人が立てて渡すと、その先はAIが進められます。

決まったことを大量に形にする「1→9」はAIが速く、できあがった制作物のクオリティと精度を判断する「9→10」は再び人の役割です。

AIに任せる作業を選ぶときは、「AIに何をさせるか」より先に「自分がどの判断を担うか」を考えます。

3. どこから始めるか

まず、繰り返し作る資料と、毎回手で行うデータの入力や書類の読み取りをAIに任せてみる

AIに何ができるかを確かめるには、自社の業務で実際にやらせてみるのが一番早い方法です。

ChatGPTやClaudeの有料版は月3,000円前後で、無料版より多く使えるので、最初から有料版で始めます。Claudeを選ぶなら、同じ料金でClaude Codeも使えます。私たちが勧める始め方は、次の3段階です。

1. 繰り返し作る資料と、毎回手で行う入力や読み取りから始める: 経営者か担当者がClaudeかChatGPTの有料版を契約し、議事録や週報のように繰り返し作る資料をAIに作らせることと、毎回手で行っているデータの入力や書類の読み取りをAIにやらせることから始めます

2. 試す幅を広げ、時間短縮や手間の削減につながった使い方をまとめる: 試す業務を少しずつ広げ、作業時間が短くなった使い方や手間が減った使い方を、1つの表に書き出していきます

3. 担当者が見つけた使い方を社内で共有する: 担当者がそれぞれ見つけたAIの使い方と事例を定期的に持ち寄り、社内の誰もが使えるように共有します。AIへの指示文(プロンプト)や指示書を書いたテキストファイル(mdファイル)などを共有し、他の従業員でも同じ使い方ができる状態を目指します

1人で試している間は、顧客名と個人情報を入力しないことを暫定のルールにします。見積書や商談メモ、契約書を貼り付けるときは、お客様の社名や担当者の名前を伏せてから入れます。

Claude Codeは、インストールと「見てよい資料」のフォルダづくりから始める

Claude Codeは、前編に書いた2つの手順が出発点です。1つ目はインストールで、ターミナルで1行のコマンドを実行し、アカウントでログインするまで30分程度で終わります。

2つ目は、新しいフォルダを作って最初にAIに読ませる資料を入れ、AIに「この中だけ見てよい」と伝えることです。実際の作業は、ここから始まります。

製造業なら会社概要、主要製品の仕様書、過去3年の売上推移、主要顧客の業界一覧、求人票、設備一覧が候補です。小売業なら店舗一覧、商品カテゴリ別の売上推移、POSデータのサマリ、顧客アンケートが候補です。

フォルダの中身を最初から完璧にそろえようとせず、手元の資料をいくつか入れて「この情報を元に、○○について整理して」と頼むところから始めます。慣れてきたら、Gmail、スプレッドシート、Slackをつなぐのが次の段階です。

ターミナルが難しそうなら、Claudeのアプリにも、黒い画面を使わずに普段のツールをつないでAIに作業を頼める機能があります。

私(代表の佐久間)も、まずこの機能でデータの接続を試して慣れてから、Claude Codeに移りました。

4. どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

AIに入力してよい情報のルールづくりと資料集めまでは自社ででき、基幹システムとの連携と手順書づくりは外部に頼むと早い

次の作業は、自社で進められます。

  • ChatGPTやClaudeに日々の資料を作らせます
  • AIに入力してよい情報を決めた社内ルールを作ります。初版は、日本ディープラーニング協会の生成AI利用ガイドラインのひな形を自社向けに書き換えて作ることもできます。このルールを決めるのは経営者か役員です
  • AIの答えを確かめる手順を決めます。決めるまでは使う業務を広げず、専門家への確認も手順に入れます
  • Claude Codeの「見てよい資料」のフォルダに手元の資料を集め、整理を頼みます

外部に頼むと早いのは、次の2つです。1つは、AIを基幹システムやCRMとつないでデータを読ませる作業です。Gmailやスプレッドシートはアプリの機能でつなげますが、基幹システムやCRMとつなぐ段階は、外部に頼むことが多くなります。

もう1つは、業務別の手順書とプロンプト集を作ることです。自社の運用を見ながら書くので、まとまった時間が要ります。試す人はいても、その時間を社内で取れないときは、作成を外部に頼むと早く進みます。

社員が個人の判断で無料のAIに顧客情報を貼っている場合や、AIの答えをそのまま使ってよいか判断できる人がいない場合は、社内ルールと答えを確かめる手順を決めれば、自社で解決できます。

売上はExcel、顧客とのやり取りはメール、受注の記録は基幹システムのようにデータが分かれている場合は、フォルダに集めるところまでを自社で進め、基幹システムやCRMとつなぐ段階を外部に頼みます。

AIを使う業務が増えたら担当者を育て、基幹システムやCRMとつなぐなら外に頼む

進め方向いている状況注意点
自分で進めるChatGPTやClaudeを日々の業務に使っている段階か、Claude Codeに「見てよい資料」のフォルダを読ませ始めた段階です月数千円で始められます。会社のルールがないまま、AIの使い方が個人の判断で広がりやすいので、AIに入力してよい情報のルールだけは先に決めます
社内で担当者を育てるAIを使う業務が複数あり、AIの活用を続ける予定があり、担当者がAIの活用を進める仕事に充てる時間を毎週確保できる会社です兼任で進めるなら、担当者が通常の業務とAIの活用を進める仕事にそれぞれ使う時間を先に決めます
外に頼む手順書とルールまで一度に整えたい、ダッシュボードや自動化を作りたい、基幹システムやCRMとつなぎたい会社です頼む範囲を決めないまま任せると、ツールの契約だけが続いて使われないことが多くなります。手順書とルールなら研修、ダッシュボードや自動化なら実装の代行、というように頼む範囲を先に決めます

社内で担当者を置く会社でも、専任は少なく、ほかの仕事と兼ねている担当者のほうが多くなっています。中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した調査(2025年11月から12月に実施、この設問の回答1,568社)では、AI・IT導入の専任担当者がいる企業は3.0%で、専任ではないがAI・IT導入を推進する担当者がいる企業は11.1%でした。

5. 外部への3つの頼み方

納品物を見て、研修、実装の代行、Claude Codeの設定支援から選ぶ

私たちがお受けしている依頼は次の3種類で、どれも納品物があらかじめ決まっています。

頼み方何を頼むか納品物向いている会社
研修業務の棚卸しから、自社の業務別の使い方を決め、社内に広げますその会社の業務別AI活用手順書、プロンプト集、社内利用ルールChatGPTやClaudeを個人で使い始め、会社として使い方を揃えたい段階の会社です
実装の代行ダッシュボード、週次レポート、自動掲載のような仕組みを作ります実際に動くダッシュボードや自動化の仕組みと、設計書、更新の手順書経営の数字を毎週見たい、転記や集計をなくしたい会社です
Claude Codeの設定支援Claude Codeの初期設定を一緒に行いますClaude Codeへの指示書(CLAUDE.mdというファイル)、フォルダ構成、最初に自動化した作業の仕組み、出力を確認する仕組みClaude Codeを自社で運用したいものの、最初の設計に自信がない会社です

研修の進め方は、業務を棚卸しして「AIに任せられる作業」と「人が判断する作業」を分け、手順書とプロンプトを作り、担当の方と実際の業務で2回使って直し、社内ルールと更新のしかたを残す、という順です。

見積もりを頼む前に、AIに任せる作業を決め、その作業に今かかっている時間を測っておく

発注前に、次の4つをはっきりさせておきます。

はっきりさせておくこと中身
対象業務「営業の効率化」ではなく「見積書の下書き作成」「毎週の流入レポート」のように、作業の単位で決めます
現状の時間その作業に、誰が、月に何時間かけているかです。試しに使ったときに、作業時間が短くなった使い方を書き出した表が、ここで使えます
使うデータAIに読ませる文書とデータは何か、顧客情報や個人情報が含まれるかです。入力したデータが発注先の使うAIの学習に使われないかを、契約前に聞きます
社内の担当者試す人と、ルールを決める人(経営者か役員)です

対象業務と社内の担当者を決め、現状の時間と使うデータを調べてから、発注先に見積もりを頼みます。契約は、月額で一緒に進める準委任(作業時間に対して払う契約)か、納品物を決める請負(完成した納品物に対して払う契約)かのどちらかになります。

AIは精度の保証が難しいため、請負でも「手順どおりに動く」「出力を確認する手順がある」「効果を測るために作業時間を記録できる」を完成の条件にするのが現実的です。

6. 費用

自社でやるなら、月に数千円のツール代から始められる

各社の料金ページ(2026年10月19日時点。ChatGPTは10月11日時点)によると、主なAIの有料版は、ChatGPTのPlusが月3,000円、ClaudeのProが月20ドル(約3,000円、年払いなら月17ドル相当)、GeminiのGoogle AI Proが月2,900円です。

Claude CodeはClaudeのPro以上のプランに含まれ、CodexはChatGPTの無料版を含む各プランで使えます。

有料版で試し、Claude Codeに資料を読ませるところまでを自社でやる場合、費用は月に数千円(上位のプランを使うなら数万円)です。

研修と導入支援の料金は、時間数と範囲をそろえて比べる

各社の公式サイトなどWEB上の情報(2026年10月19日閲覧)によると、AIの研修や導入支援を頼める会社の料金には、次のような例があります。料金と範囲は変わることがあるので、最新の内容は見積もりを取るときに各社に確かめます。

社員が参加する公開講座の研修

  • インソース: ChatGPTの使い方を学ぶ公開講座。半日24,400円から(会員価格)
  • トレノケート: 生成AIのビジネス活用を学ぶ1日の公開講座。33,000円(税込)

AIの導入と活用を月額で相談できる顧問

Claude Codeの導入支援

  • Fyve: 月5万円から40万円まで(税別)の3段階

私たちは、マーケティング支援の月額4万円を基本とし、必要な施策と制作物の分だけご発注いただく形で受けています。

必要な施策だけ取り組みたい、ウェブサイトやダッシュボードを制作したい、といったニーズに合わせて、単発のプロジェクト発注を1か月単位から受けています(1か月単月15万円から)。

研修、実装の代行、Claude Codeの設定支援のどれも、この単発のプロジェクト発注でお受けします。

研修は、業務の棚卸しから社内ルールと更新のしかたを残すまでで、私たちの稼働35時間が目安です。実装の代行は、1か月単位の発注額に、制作物に応じた制作費が加わります。

他社と比べるときは、公開されている金額だけでなく、研修の時間数と打ち合わせの回数を先方に聞き、業務の棚卸しから社内ルールまでという同じ範囲にそろえて比べます。

デジタル化・AI導入補助金では、研修は単独では対象にならず、対になるソフトウェアの導入と一緒に申請すると対象になる

制度対象上限と補助率締切
デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)事務局に登録されたITツール(AIを使うものも含むソフトウェア)の導入費です補助額は5万円以上450万円以下です。補助率は2分の1以内で、最低賃金の条件を満たす事業者は3分の2以内です次の締切(6次)は2026年10月30日17時です
中小企業省力化投資補助金(一般型)人手不足を補う設備やシステムへの投資です補助上限は従業員5人以下の750万円から101人以上の8,000万円まで、補助率は中小企業2分の1(小規模事業者は3分の2)です第8回は2026年10月16日17時に締め切られました。第9回は、11月上旬に公募開始、12月上旬に申請受付開始、12月下旬に申請締切の予定です

表の日程は、公募要領と公式サイトの2026年10月19日時点の記載です。第9回以降の確定した日付は公式サイトに出ます。

デジタル化・AI導入補助金は、事務局が認めたIT導入支援事業者と一緒に申し込みます。

デジタル化・AI導入補助金で補助率が3分の2以内になるのは、2024年10月から2025年9月の間に、当時の地域別最低賃金以上、2025年度改定後の地域別最低賃金未満の賃金で雇う従業員が全従業員の3割以上だった月が、3か月以上ある事業者です。

導入コンサルティングや研修は、ツールとセットのときだけ対象になります。これらと保守サポートの費用は合わせて、1回の申請あたり200万円が上限です。

省力化投資補助金では、パッケージソフトなどオーダーメイド性の無いシステムを単体で導入する事業は対象外で、複数を組み合わせて省力化効果を高める場合は対象になると公募要領に書かれています。

補助金の要件は公募の回ごとに変わるため、申請を前提に発注するなら、発注先が支援事業者として登録されているか、申請の締切と納品の時期が合うかを、最初の打ち合わせで確認します。

7. 目標にする数字と、納品物の確認のしかた

初年度の成果は、対象の作業時間が短くなったか、外注していた制作を自社で作れたか、AIの使い方が社内に定着したかで見る

目標測り方見方
対象業務の作業時間発注前に書き出した「月に何時間」と比べて、導入後の時間を月1回記録します週次レポートなら「管理画面を見て回る作業がなくなったか」のように、作業が消えたかで見ます
使っている人数と頻度週に1回以上使った人数を、対象部署の人数で割ります「個人の判断で使う」状態から「決めた業務で全員が使う」状態になったかを見ます
自社で作れるようになった制作の件数以前は外注していたサイト、ページ、ダッシュボード、資料のうち、自社で作れるようになったものの数を数えます「外注していたサイトを自社で作り、費用がドメインとサーバー代だけになった」のように、お金を払って外に頼んでいた制作を自社で作れたかを見ます
手順書とルールの有無入力してよい情報の線引き、出力の確認手順、更新の担当が文書になっているかを見ます「ある・ない」の2択です。これがないと担当者が変わったときにAIの活用が止まります

納品物は、発注先がいなくても、自社の担当者だけで動かし続けられ、作り直せるかで確かめる

確かめること見方
自社の担当者だけで2回動かせるか(1回だけなら、偶然うまく動くこともあるためです)発注先がいないと動かないものは、納品物ではなく発注先の作業にとどまります
出力を確認する手順が書かれているかAIの出力には誤りが混ざります。確認する人と手順が決まっていないものは、使い続けられません
設計書と更新の手順書があるか頼んだ側の会社の担当者が、自分たちの環境で作り直せるかが基準です
公開後の実物で確かめたか発注先のパソコンの上で完成したことと、公開されたものが動いていることは別です。公開後に実物で動くことを確かめる工程を最後に入れます

ローカルグローススタジオの観点

私たちは、AIの実装を頼まれたとき、何を資産として残すかを先に決めています。

顧客獲得コストを下げるには「ストック>フロー」を意識しようでは、広告のように費用がかかり続ける「フロー型」の施策と、オーガニック流入(広告を使わず、検索などから自然に来る訪問)のように一度構築すれば継続的に効果を発揮する「ストック型」の施策を分け、ストック型を優先する考え方を書きました。

元の記事が分けているのは集客の施策ですが、私たちはAIの実装で何を残すかを決めるときにも、この考え方を借りています。業務ごとの専用SaaSの契約や、ChatGPTやClaudeの月額は、払っている間だけ使える費用で、元の記事のフロー型の説明(費用がかかり続ける)に近い性質です。

その会社の業務に合わせて書いた手順書とプロンプト集、出力を確認するルール、毎週自動で集計やレポートを作る仕組みの3つは、担当者が変わっても残り、次の業務に広げるときにそのまま使えます。元の記事のストック型の説明(一度構築すれば継続的に効果を発揮する)と同じ性質を持つため、私たちは納品物の中心をこの3つにしています。

事例

大学発のスタートアップの支援先には、ダッシュボードに設計書と指示書を付け、先方が使うAIでも作り直せる形で納めた

事業データを、経営の数字として一目で追えるダッシュボードにまとめるご依頼でした。

ダッシュボードと一緒に、設計書と、どのファイルのどのシートのどの項目が画面のどこにつながるかを書いた指示書を納めました。私たちはClaude Codeで作りましたが、先方が使っていたのはChatGPTのCodexだったため、Codexでも作り直せて、ほかのAIの環境にも応用できる形にしてあります。

設計書と指示書があると、発注先と使うAIが違っても、先方の担当者が自分たちの環境でダッシュボードを作り直せます。

自社で進められることと、相談したほうが早いこと

この記事で紹介したことのうち、外部に頼まなくても自社で進められるのは次の4つです。

  • ChatGPTかClaudeの有料版を契約し、繰り返し作る資料の作成や、毎回手で行っているデータの入力や書類の読み取りをやらせてみます
  • AIに入力してよい情報の線引きを決めます。日本ディープラーニング協会の生成AI利用ガイドラインのひな形も参考にできます
  • Claude Codeをインストールし、「見てよい資料」のフォルダに手元の資料を入れて整理を頼みます
  • 使いたい補助金の対象になるかを確かめます。よろず支援拠点(国が全国に設置した無料の経営相談所)や商工会議所の無料相談でも聞けます

ここまでを自社でやると、外部に頼む範囲が「業務別の手順書とプロンプト集」「ダッシュボードや自動化の実装」「基幹システムやCRMとの連携」に絞られ、見積もりの金額が下がります。

一方で、次のような状況では、外部に頼むほうが早く進みます。

  • 対象業務の候補が多く、どれから始めるかが社内で決まらない状況
  • 試す担当者は置けるものの、業務別の手順書とプロンプト集まで作る時間が取れない状況
  • 経営の数字や顧客のデータを使った仕組みを作りたいものの、データの扱いの線引きから相談したい状況

AIの実装、研修、Claude Codeの設定支援は、必要な施策の分だけ、単発のプロジェクト発注(1か月単位から、1か月単月15万円から)でお受けする形です。業務の棚卸しから手順書・プロンプト集・社内ルールの納品、ダッシュボードや自動化の実装まで一緒に進めます。

詳しくはプロジェクト発注のページにまとめました。有料版での試用、AIに入力してよい情報のルールづくり、Claude Codeでの資料の整理、補助金の相談のように、自社で進められることを試してみて、次の段階で手が足りないと感じたときは、よかったらご相談ください。

参考資料

まとめ:まず自分でAIを使い、外部に頼むときは手順書と、自動で動く集計やレポートの仕組みを納品物にする

まずChatGPTやClaudeの有料版に、習慣的に作成する資料や毎回発生する入力をやらせてみて、時間短縮につながった使い方を社内の集合知にしていくのが始め方です。

その先で、Claude Codeに自社の資料を読ませると、集計やレポート、ダッシュボードのように外注していた仕事も自社でできるようになります。入力してよい情報の線引きと「見てよい資料」のフォルダづくりまでは、どの会社も自社で進められます。

私たちもこの順番で、週次レポートや支援先のダッシュボードを、業務ごとの専用SaaSを契約せずに作ってきました。AIに読ませたいデータが基幹システムやCRMに入っていてつなぐ必要があったり、業務別の手順書とプロンプト集まで作る時間が取れなかったりするなら、外部に頼むほうが早く進みます。

その時に手元に残すべきものは、ツールの契約ではなく、自社の業務に合わせた手順書とプロンプト集、出力を確認するルール、毎週自動で集計やレポートを作る仕組みです。

「ビジネス知の機会格差をなくす」という私たちのミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご連絡ください。