誰を採ればいいか決まらないときは、必要ポジションの分析から|必要ポジション分析の発注ノウハウ

ローカルグローススタジオは、『地方企業にスタートアップのような成長を』というテーマで、コンテンツ発信と支援サービスを展開しています。この記事では、実践的なビジネスノウハウを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

人が足りないことは分かっていても、誰を採ればいいかが決まらないことがあります。現場が挙げる「今足りない人」と、代表が考える「こんな人が欲しい」が食い違い、求人票を書けずにいる会社もあります。

採る職種が決まっているように見える相談でも、業務と数字を細かく分けて見ると、本当に必要なのは別の職種かもしれないと分かることがあります。

私たちは求人票をKPIから逆算して作成するという記事で、営業を採りたいと考えている会社の例を取り上げました。その会社では、既存顧客の対応が業務時間の8割を占め、新規の受注はウェブサイトからの問い合わせがほとんどでした。

この状態で法人営業の経験者を1人増やしても、問い合わせの数は変わらず、既存の営業担当と商談を分け合うだけになる可能性があります。

そのため記事では、この会社が本当に必要としているのは、今の営業担当の仕事内容から求人票を書いた「営業職」ではなく、新規開拓の手法を作り上げられる営業人材や、ウェブサイトやSNSでの集客を強化できる人材である可能性が高い、と書きました。

中小企業が1年に中途で採る人数は少ないので、1人の職種を間違えると、その影響が大きく出ます。中途採用をした中小企業が1年に中途で採る人数は、中央値で2人です(日本政策金融公庫総合研究所の2026年3月の調査)。従業員49人以下でも同じ2人でした。

年に2人採る会社なら、そのうち1人の職種を間違えると、その年に採った人の半分が、会社に必要な仕事と合わなくなります。

この記事は、「必要ポジション分析」について、2種類の読者に向けて書きました。必要ポジション分析は、KPI(目標にしている数字)と組織図から逆算して、どの職種を、いつ、どの年収で、どの媒体で採るかを決める作業を指します。

1つは、採用の前に分析をすると何が変わるのか、まだイメージを持てていない方です。もう1つは、イメージはあるものの、自社でできるのか、外部の専門家に頼むべきか迷っている方です。

前半は、まだイメージを持てていない方に向けて、私たち(ローカルグローススタジオを運営するつなぐスタジオ)がご支援している会社で、必要ポジションの一覧をもとに何を提案したかと、分析で分かるようになること、費用をかけずに始める順番を書きました。

後半は、自社でできるか迷っている方に向けて、自社で進める範囲と外部に頼む範囲の境目、外部への頼み方、費用、納品物の確かめ方を書きました。

この記事で分かること

まだイメージがない方向け

  • 大学発スタートアップに、見込み客を集める営業として伺った職種を、受注まで担う営業職ではなく、商談をつくるポジションとして定義するよう提案した、などの私たちの支援事例の紹介
  • 職種ごとに、詰まっている業務と伸ばす数字を並べると、どの職種から採るかを理由と一緒に決められる
  • 目的は、どのKPI(目標にしている数字)を動かすために採るかを決めること
  • まず、代表と現場の業務を1つずつ書き出す

イメージはあるが次の一手に迷う方向け

  • 業務の書き出しまでは自社ででき、KPIの分解とポジション別の採用難易度の見極めは専門家に頼むと早い
  • 頼む範囲は、採用計画まで、求人票まで、応募者集めまでの3つから選ぶ
  • 見積もりは、採用計画が納品物に入るかを確かめ、契約期間をそろえて比べる
  • 分析を始めた年は、計画どおりに採れたかと、採用後にKPIが動いたかを見る
  • 納品物では、採用担当や経理など、あとで足りなくなる職種まで計画にあるかを確かめる

1. 職種ごとに、詰まっている業務と伸ばす数字を並べると、どの職種から採るかを、理由と一緒に決められる

大学発スタートアップには、見込み客を集める営業として伺った職種を、受注まで担う営業職ではなく、商談をつくるポジションとして定義するよう提案した

大学発の技術系スタートアップの会社から人材紹介のご依頼をいただき、私たちは求人票を書く前に、伺った5職種について必要ポジションの一覧と優先順位を作りました。必要ポジションの一覧には、機能ごとに、いまの体制、詰まっているところ(ボトルネック)、伸ばすKPIと、それを担うポジションを並べます。

伺った職種の1つは、「営業(リード獲得)」という、見込み客を集める営業でした。私たちはこの職種を、商談から受注までを担う営業職としてではなく、展示会や問い合わせから商談をつくるポジションとして定義することを提案しました。営業の人数を増やすより先に商談をつくる人を置くと、同じ営業の人数でも商談数を伸ばせると考えたためです。

技術職の求人は、経験の層で年収と要件が大きく違うので、シニアとジュニアに分けることも提案しました。1本の求人で両方を狙うと、経験者には年収が低く見え、若手には要件が高く見えて、どちらにも届きにくくなります。

分析で出た優先順位と、代表がいま一番採りたい職種が違うときは、代表の方針に合わせて組み替えることがあります。この会社でも、代表の方針に合わせて優先順位を組み替えました。組み替えたときは、順番を変えた理由と見送った職種を、採用計画の中に書き残します。

分析をすると、1人に混ざった仕事や、次に人が足りなくなる部門が分かる

必要ポジション分析をすると、次の5つが分かるようになります。分析の手順は、ポッドキャスト第16回 求人票をKPIから逆算してつくると、その内容を記事にした求人票をKPIから逆算して作成するで解説しています。

分かること何を見るか例
1人に混ざっている専門性代表と現場の業務を1つずつ書き出し、専門性の違う仕事が1人に混ざっていないかを見ます代表の仕事を分解すると、マーケティング、業界専門の顧客対応、プロジェクト管理のように、専門性の違う仕事が1人に混ざっていることがあります
営業のほかに、商談をつくる人が要るか営業が自分で見込み客を集めているか、問い合わせ数と商談化率を見ます営業を増やしたいという相談でも、営業とは別に、商談をつくる人を置く体制を設計することがあります
間接部門のボトルネック事業部門で人が増えたときに、採用、経理、総務の担当者の手が足りるかを見ます採る人数が多い計画では、事業部門の採用より先に採用担当を置くと、年間の採用人数を伸ばせることがあります
次のボトルネック1人目を採ったあと、どの工程で次に人が足りなくなるかを先に予測します商談が増えると営業の人手が、受注が増えると既存のお客様に対応する人手が、次に足りなくなることがあります
代表の優先順位とのズレ現場の「今足りない」と代表の「こんな人が欲しい」を、1つの表に並べて突き合わせます代表の方針と分析で出た順が違うときは、どちらに合わせたかと理由を採用計画に書き残します

2. 何を目的にするか

目的は、どのKPIを動かすために採るかを決めること

採用計画の目的は、「どのKPI(目標にしている数字)を動かすために採るか」を決めることです。問い合わせ数を月100件から150件にするのか、商談の成約率を上げるのか、既存のお客様の継続率を上げるのかで、採る職種が変わります。

採用の効果が売上に出る時期も、先に見ておきます。受注から納品までの期間が長い会社では、今期の売上はすでに動いている商談で決まり、これから採る人の働きが売上に出るのは来期以降になります。

採用活動を強める前に、採る職種が会社に必要な仕事からずれていないかを確かめる

私たちの支援では、採る職種が会社に必要な仕事からずれたまま採用活動を強めても、その仕事を担える応募者は来ないことが多くありました。そのため、活動を強める前に、採る職種を決め直すことをおすすめしています。

採用活動を強める会社は多く、人手不足の中小企業が取る対策では、「採用活動の強化」が75.7%で最も多くなっています(日本商工会議所と東京商工会議所の2026年7月から8月の調査、回答2,654社のうち人手不足と答えた企業)。

3. どこから始めるか

まず、代表と現場の業務を1つずつ書き出す

必要ポジション分析は、求人を出す前に、次の4つを書き出すところから始められる作業です。自社でやれば費用はかかりません。

1. 代表と現場の業務を1つずつ書き出し、専門性の違う仕事(営業、マーケティング、顧客対応、管理)が1人に混ざっていないかを見ます

2. 受注までと受注後の数字(問い合わせ数、商談化率、成約率、既存のお客様の継続率)を、分かる範囲で書きます。数字がなければ、まず数えるところから始めます

3. 組織図と、いまの兼務を書きます。1年後と2年後に、どの機能に何人いる状態にしたいかを隣に書きます

4. 代表がいま一番採りたい職種と、その理由を1行で書きます。優先順位は、分析で出た順と、代表が書いた職種と理由を突き合わせて決めます。分析のあとで代表の考えと順番が食い違うと、計画を組み替えることになるので、代表の考えは分析を始める前に書いておきます

代表が一番採りたい職種を書き出すときと、その職種の人を外から採るか社内で育てるかを決めるときは、中小企業庁の「人材確保支援ツール」(2020年3月作成・改定)のワークシートが使えます。人手不足でできていないことを書き出し、外部から採るか内部で育てるかを決める記入式の資料で、無料です。

採りにくい職種ほど、決まるまでの期間を長く見込んで、早めに求人を出す

職種を決めたら、その職種がどれくらい採りにくいかを見ておくと、採用にかかる期間を見込めます。職種全体の採りにくさは、職業別の有効求人倍率で確かめられます。

職業別の有効求人倍率(厚生労働省の一般職業紹介状況、2026年8月、季節調整なし)は、建設躯体工事従事者が8.25倍、介護サービス職業従事者が3.89倍、営業職業従事者が2.05倍、情報処理・通信技術者が1.33倍、一般事務従事者が0.29倍でした。

1倍を超える職種は求人より求職者が少なく、1倍を下回る一般事務は求職者のほうが多い職種です。

採りにくい職種は候補者が少なく、決まるまでに時間がかかります。私たちの支援では、候補者の中でもキャリアの長い人ほど転職の検討に時間がかかるので、期間を長く見込み、採りたい時期より前から求人を出しておきます。

情報処理・通信技術者(2026年8月は1.33倍)のように職種全体の倍率がそれほど高くなくても、年収の高い経験者に絞ると候補者は少なくなります。そのような求人も、倍率だけで判断せず、決まるまでの期間を長めに見込みます。

4. どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

業務の書き出しまでは自社ででき、KPIの分解とポジション別の採用難易度の見極めは専門家に頼むと早い

代表と現場の業務、受注までと受注後の数字、組織図といまの兼務、代表が一番採りたい職種を書き出すまでは、自社で進められます。書き出した業務を見て、専門性の違う仕事が1人に混ざっていないかを確かめることも、社内でできます。

書き出した数字をもとに、売上の目標をKPI(目標にしている数字)に分け、どの数字をどのポジションが担うかを決める作業と、ポジションごとの採用難易度を見極める作業は、専門家に頼むと早く進みます。

KPIの分解は、売上の目標を、問い合わせ数、商談化率、成約率、継続率のような段階ごとの目標に分け、書き出したいまの数字と比べて、どの段階で詰まっているかを見る作業です。どこで詰まりやすいかは商材や受注までの流れで変わるので、ほかの会社で同じ分解をしてきた専門家に頼むと、早く見極められます。

KPIの分解ができると、1人目を採ったあとに次にどの段階が詰まるかと、事業部門で人が増えたあとに採用、経理、総務の手が足りなくなるかを、組織図と合わせて見込めます。どちらも自社だけを見ていると気づきにくく、ほかの会社でどこが詰まったかを知っていると見つけやすくなります。

職業別の有効求人倍率は職種全体の数字なので、ポジション別の採用難易度までは見極められません。同じ職種でも、年収や経験の条件と勤務地によって、候補者の数が変わるためです。職種と地域ごとの採用市場の状況を知っている専門家に頼むと、早く見極められます。

私たちが受けた相談では、自社で必要ポジション分析を進めた会社は、次の4つの場面でつまずいていました。

1つ目は、「何でもできる人を1人」「若手で気合のある人」という形で求人が出て、応募が来ないか、来ても任せたい仕事に合わない場合です。これは自社で解決できます。代表と現場の業務を1つずつ書き出し、専門性ごとに求人を分けます。

2つ目は、現場は「今足りない人」を挙げ、代表は「こんな人が欲しい」と言い、意見がまとまらないまま求人票を書けない場合です。これも自社で解決できます。代表が一番採りたい職種を先に書き出し、現場の業務を分解した結果と1つの表に並べて突き合わせます。

3つ目は、「営業が足りない」と考えて、営業の求人を出そうとしている場合です。受注までの数字を段階ごとに分けると、営業を増やすより先に、展示会や問い合わせから商談をつくる人や、新規開拓の手法を作り上げる人が要ると分かることがあります。KPIの分解を専門家に頼むと、どの段階が詰まっているかを早く見極められます。

4つ目は、採る職種と優先順位は決まったものの、採りにくさを踏まえて、どの求人をいつから出せばよいかを決められない場合です。採りにくいポジションほど決まるまでに時間がかかるので、ポジションごとの採用難易度を専門家に見極めてもらうと、求人を出す順番と時期を早く決められます。

採る職種が少なく、代表が現場を把握していれば自分で進め、職種が多いときは外に頼む

選択肢向いている会社進め方と注意点
自分で進める採る職種が少なく、代表が現場の業務を把握している会社です業務、受注前後の数字、組織図、採りたい職種の4つを書き出すところまでは自社で進められ、中小企業庁の人材確保支援ツールも使えます。KPIの分解と採用難易度の見極めも自社で行うなら、そのぶん時間がかかります。代表の「一番採りたい職種」を先に書くと、現場の要望と突き合わせられます
社内で担当者を育てる毎年続けて採用する計画があり、人事か総務に採用を担う人がいる会社です中途の採用計画を毎年作る前提で、担当者の時間を先に確保します
外に頼む採る職種が多い会社、受注までのどの段階が詰まっているかを見極めたい会社、ポジションごとの採りにくさを先に知りたい会社です採用計画を作らずに求人票を書くことだけを頼むと、職種をどう決めたかが社内に残らず、次の採用でまた最初から考え直す必要があります

5. 外部に頼むときの3つの頼み方

頼む範囲は、採用計画まで、求人票まで、応募者集めまでの3つから選ぶ

必要ポジション分析を頼める相手は、人材紹介会社、採用コンサルティング会社や採用代行(RPO)の会社、人事コンサルタントや社会保険労務士、公的な相談窓口の4種類です。

公的な相談窓口には、よろず支援拠点(国が全国に設置した無料の経営相談所)と、プロフェッショナル人材戦略拠点(内閣府の事業として道府県ごとに置かれ、自社の課題を解決するにはどんな人材が要るかを一緒に整理し、人材ビジネス事業者を通じてプロフェッショナル人材を紹介する窓口)があります。

相手が違っても、頼み方は3つのどれかになります。

頼み方何を頼むか納品物向いている会社
採用計画の作成業務の分解、KPI(目標にしている数字)の分解と担うポジション、採用難易度、優先順位、年収レンジ、推奨媒体を、1つの採用計画にまとめます職種ごとに、担うKPI、時期、自社が重視する点、年収レンジ、必須要件と歓迎要件、推奨媒体を書き、1年後と2年後の組織図を載せた採用計画採る職種から決めたい会社や、受注までのどの段階が詰まっているかを先に見極めたい会社です
求人票まで採用計画をもとに、職種ごとの求人票を書きます採用計画と、職種ごとの求人票職種は決まっていて、応募が来る文面にしたい会社です
応募者集めまで媒体への掲載、スカウト、人材紹介で応募者を集めるところまで進めます採用計画と職種ごとの求人票に加えて、媒体別の応募数の記録と、紹介した候補者の記録採用担当がいない、採りにくい職種を急いで埋めたい会社です

採用計画の年収レンジと推奨媒体は、職種ごとの採用難易度を見極めてから決めます。採りにくい職種では、公的統計と公開求人だけでは年収の目安を決められないことがあり、候補者に届く媒体も、職種と狙う経験の層で変わるためです。

私たちへのご依頼は、採用計画の作成からお受けするのが基本です。人材紹介のご依頼でも求人票の前に採用計画を作るのは、決めた職種が会社に必要な仕事からずれていると、紹介した候補者が入社後に合わないためです。

頼む前に、組織図を書き出し、事業目標の数字、採りたい職種、予算を自社で決めておく

用意しておくもの中身
事業目標の数字今期と来期の売上、問い合わせ数、商談数、継続率など、採用で動かしたい数字を書きます
組織図と、いまの兼務誰が何を担当し、どこで1人が複数の専門性を抱えているかを書き出したものです
代表が一番採りたい職種と理由この職種と理由を1行で書いておき、分析で出た優先順位と突き合わせて最終的に決めます。先に書いておくと、分析をやり直さずに済みます
採用にかけられる予算年収の上限と、人材紹介を使う場合の手数料の上限を決めます

人材紹介の手数料は、採用した人の理論年収(月給の12か月分に賞与などを足した年収)に料率をかけた額です。人材紹介を頼む前に、料率と、採用した人が入社して早い時期に辞めたときの返金の条件を確かめます。

6. 費用

自分でやるなら、ExcelやGoogleスプレッドシートと無料の公的な窓口で始められる

業務、受注前後の数字、組織図、採りたい職種の4つを書き出すのに要るのは、ExcelやGoogleスプレッドシート1枚だけです。中小企業庁の人材活用ガイドラインと人材確保支援ツールは無料で、よろず支援拠点の相談も無料です。

道府県ごとに置かれたプロフェッショナル人材戦略拠点でも、経営の課題を解決するために外から迎える人材の人物像を整理する相談を、無料で受けられます。都道府県が採用の専門家を無料で派遣する事業を行っている年度もあり、募集の時期と対象は年度ごとに変わるので、所在地の都道府県の窓口で確かめます。

見積もりは、採用計画が納品物に入るかを確かめ、契約期間をそろえて比べる

各社の公式サイトや、人事の専門サイト「日本の人事部」のサービス紹介など、WEB上の情報(2026年10月20日閲覧)によると、採用計画の作成や採用の実務の代行を頼める会社には、次のような例があります。料金と範囲は変わることがあるので、最新の内容は見積もりを取るときに各社に確かめます。

採用計画の作成を中心に頼める会社

採用の戦略や計画から、実務までを続けて頼める会社

求人の作成、媒体の運用、応募者の対応などの実務の代行を中心にした会社

上に挙げた会社の料金のページでは、頼む範囲、契約の期間、採る人数や運用する媒体の数で料金が分かれ、初期費用や媒体の掲載料の扱いも会社によって違います。そこで見積もりを頼むときは、次のことを伝えます。

  • 頼む範囲(採用計画の作成だけか、求人の作成や媒体の運用までか)
  • 契約の期間
  • 採る人数と、運用する媒体の数

見積もりでは、次のことを確かめます。

  • 採用計画が納品物に入るか
  • 最低契約期間があるか
  • 初期費用がかかるか
  • 求人媒体の掲載料や広告費が、料金に含まれるか

分析だけを頼む費用は、1人を紹介してもらうときの手数料と比べて、見合うかを考える

分析だけを外部に頼むときは、その職種で1人を紹介してもらうときの手数料(理論年収に料率をかけた額)と比べて、費用が見合うかを考えることをおすすめしています。

種類公開されている数字時点
人材紹介の手数料厚生労働省の職業紹介事業報告(2024年度、速報)では、常用就職1件あたりの手数料は約103万円でした2026年3月公表
人材紹介の料率リクルートエージェントの法人向けの記事は35%が一般的と説明し、リクルートダイレクトスカウトの記事は30%から40%が多いと説明しています2024年から2026年(リクルートエージェントの記事は2026年6月に更新)
私たちの人材紹介私たちが運営する人材紹介のタレントグローススタジオの手数料は、理論年収の25%です2026年10月時点

私たちがお受けしている採用のご依頼は、成果報酬型の人材紹介契約から、採用体制を改善する個別のプロジェクトまでです。必要ポジション分析は、人材紹介のご依頼では紹介の前に行います。分析だけのご依頼は個別のプロジェクトとしてお受けし、業務の分解から採用計画の作成まで、私たちが進行を管理しながら一緒に進めます。

どの形が合うかは、まず無料相談でお話を伺ってから決めています。

中途採用を増やす計画なら、中途採用率を上げた事業主に出る助成金を使えることがある

採用計画とあわせて使える助成金には、早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)があります。

中途採用者の雇用管理制度を整えて中途採用率を上げ、採用した人の賃金を雇い入れ前より5%以上高くした事業主に、中途採用者1人あたり20万円が出ます(厚生労働省のパンフレット、2026年4月版)。細かい要件は、申請の前に公式サイトで確かめます。

7. 目標にする数字と、納品物の確認のしかた

分析を始めた年は、計画どおりに採れたかと、採用後にKPIが動いたかを見る

目標測り方目安
求人を出す前に、採用計画があるか職種ごとに、担うKPI(目標にしている数字)、時期、重視する点、年収レンジ、必須要件と歓迎要件、推奨媒体が、1つの採用計画に書かれているかを見ます「ある・ない」の2択です。これがないと、応募が来ないときに職種が悪いのか文面が悪いのか分かりません
計画に対する採用の割合採用予定数に対する採用数を、職種ごとに出しますまず自社の前年と比べます。ほかの会社の目安には、中途で採用予定数どおりか、それ以上に採れた企業が67.6%(予定どおり57.3%、予定超10.3%)という数字があります(日本政策金融公庫総合研究所の調査)
採ったあとにKPIが動いたかその職種が担うKPI(商談をつくるポジションなら商談数、法人営業なら成約率)を入社前と比べます。比べる時期は、入社後3か月と6か月など、受注までの期間に合わせて決めます動かなければ、職種の決め方か受け入れ体制のどちらかを見直します

納品までに時間がかかる会社では、採用の効果が売上に出るまでに時間がかかります。商談数や成約率は売上より先に動くので、採ったあとの変化は、売上より先にこれらの数字で見ます。

納品物では、採用担当や経理など、あとで足りなくなる職種まで計画にあるかを確かめる

確かめること見方
採用計画に、職種ごとの項目が埋まっているか職種、担うKPI、時期、自社が重視する点、年収レンジ、必須要件と歓迎要件、推奨媒体の7項目を見ます
優先順位が代表の方針と一致しているか代表が一番採りたい職種が優先度1になっているか、違うなら理由が採用計画に書かれているかを見ます
年収レンジに根拠があるか公的統計(厚生労働省の賃金構造基本統計調査)と、同じ職種の公開求人の両方と比べます
間接部門が入っているか事業部門の採用が進んだあとに、採用担当、経理、総務の手が足りなくなることを見込んで、それらの職種の採用が計画に書かれているかを見ます

求人票の作成と必要ポジション分析の違いは、間接部門と次のボトルネックまで計画に入っているかどうかです。求人票は職種ごとに書けますが、間接部門と次のボトルネックまで含めた計画は、組織図全体を見て初めて書けます。

ローカルグローススタジオの観点

私たちが運営する人材紹介のタレントグローススタジオは、採用企業向けに「事業戦略から相談できる人材エージェント」を目指しています。

私たちは、事業計画を理解したうえで必要なポジションを提案し、その後に人材を提案します。求人票の前に採用計画を作るのは、事業計画、ポジション、人材の順番を守るためです。

求人票をKPIから逆算して作成するでは、1つのボトルネックを解消すると次のボトルネックが別のKPI(目標にしている数字)に移る、と書きました。そのため、会社に残して次の採用で使うのは、いま出す求人票ではなく、次のボトルネックまで書いた採用計画です。

事例

採る前に人や部門の置き方を決め直した会社では、新卒の応募や問い合わせが増えた例がある

求人を出す前に、採る職種や人の置き方を決め直した会社の例は、中小企業白書、中小企業庁の人材活用事例集、九州経済産業局の資料にも載っています。

会社何をしたか何が変わったか
株式会社エンクル(北海道札幌市)社長の右腕がおらず、海外営業が社長の専任業務で、工場の増設も急ぎの課題でした。「3年以内に輸出売上2億円」の目標を置き、外部から確保する人材を、設備投資の検討から金融機関との調整までできる財務に詳しい人と決めました海外事業の方向性が明確になり、新工場建設の検討を始めました
株式会社カネダイ(宮城県気仙沼市、従業員140名)新卒の応募がほとんどなく、人事部の創設を構想しましたが社内に適任者がいませんでした。2022年に入社した若手人材に、人事部の立ち上げを一任しました新卒の応募者が2023年と2024年に約130名、2025年に約240名になり、人事部は3名体制になりました
四恩システム株式会社(福岡県久留米市)当初の募集はカスタマーサービス職でしたが、面談した人材の経験から、会社側が製品に関わる購買部門への配属を提案し、本人の同意を得て採用しました入社後すぐに活躍し、属人的だった業務フローの標準化と情報共有の仕組みづくりが進みました
岡本電気株式会社(滋賀県大津市、従業員95名)承継した事業の営業とマーケティングのノウハウが社内になく、副業・兼業のマーケターと2021年8月に契約し、KPI(目標にしている数字)を決めて毎月見る体制を作りました2022年に契約を終えた後も、社内に蓄積したノウハウで営業と販路開拓を続け、新規の問い合わせは取組前の数件から毎月十数件に増えました

自社で進められることと、相談したほうが早いこと

業務、受注前後の数字、組織図、採りたい職種の4つを書き出すことと、よろず支援拠点に無料で相談することは、専門家に費用を払わずに自社で進められます。

  • 代表と現場の業務を1つずつ書き出し、専門性の違う仕事が1人に混ざっていないかを見ます
  • 受注までと受注後の数字と、組織図といまの兼務、1年後と2年後の姿を、同じ表に書きます
  • 代表がいま一番採りたい職種と理由を1行で書き、その職種がどれくらい採りにくいかを見ます。職種全体の採りにくさは、職業別の有効求人倍率で確かめられます
  • 書き出した業務と組織図を持って、よろず支援拠点に、人手不足をどの職種の採用で補うかを相談することもできます

ここまでを自社でやれば、外部の専門家に頼むのは、KPI(目標にしている数字)の分解と、ポジション別の採用難易度の見極めが中心になり、求人票と応募者集めは必要なときだけ加えればよくなります。自社で進めた分だけ頼む範囲が狭くなるので、見積もりも小さくなります。

一方で、外部に頼むほうが早く進むのは、次のような状況です。

  • 受注までの数字のどの段階が詰まっているかが分からず、営業を増やすか、商談をつくる人を置くかを決めきれないときです
  • 採りたいポジションがどれくらい採りにくいかが分からず、どの求人をいつから出せばよいかを決められないときです

私たちは必要ポジション分析を、人材紹介のご依頼では紹介の前に行い、分析だけのご依頼は採用体制を改善する個別のプロジェクトとしてお受けし、業務の分解から採用計画の納品までを担当します。人材紹介での採用が向いている職種には、成果報酬型の人材紹介契約(タレントグローススタジオ、手数料は理論年収の25%)で候補者を紹介します。

詳しくはプロジェクト発注のページにまとめました。自社で進められることを試してみて、受注までのどの段階が詰まっているかや、採りたいポジションがどれくらい採りにくいかを自社で見極めきれないと感じたときは、まずは無料相談でお話を聞かせてください。

参考資料

まとめ:求人を出す前に、KPIと組織図から採用計画を作る

「営業を1人採りたい」という相談でも、受注までの数字を段階ごとに分けると、営業を増やすより先に、商談をつくる人や新規開拓の手法を作り上げる人が要ると分かることがあります。中途で年に2人ほど採る会社では、採る職種を1つ間違えると、その年に採った人の半分が、会社に必要な仕事と合わなくなります。

そのため求人を出す前に、どのKPI(目標にしている数字)を動かすために採るかを決め、職種、時期、年収レンジ、媒体を1つの採用計画にまとめます。業務、受注前後の数字、組織図、代表が一番採りたい職種の4つを書き出すところまでは、費用をかけずに自社で進められる範囲です。

書き出した数字をもとに売上の目標をKPIに分け、どの段階が詰まっているかを見ることと、ポジションごとの採用難易度を見極めることは、ほかの会社の採用や地域の採用市場を知っている専門家に頼んだほうが早く進みます。年収レンジと媒体は、採用難易度を見極めてから決めます。

外部に頼むときは、見積もりを取る前に、事業目標の数字、組織図と兼務、代表が一番採りたい職種、予算を揃えておきます。納品物では、採用担当や経理など、あとで足りなくなる職種まで計画にあるかを確かめます。

「ビジネス知の機会格差をなくす」という私たちのミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご連絡ください。