ローカルグローススタジオは、『地方企業にスタートアップのような成長を』というテーマで、コンテンツ発信と支援サービスを展開しています。この記事では、実践的なビジネスノウハウを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
商談の予定が入るたびに、社長か担当者が提案資料を一から作っていることがあります。前に作った資料を開いて社名や数字を書き換え、相手に合わせてページを足したり消したりするうちに、同じ商品の説明が資料ごとに少しずつ違ってくる会社もあります。
資料の制作を請け負う株式会社スライドチームが、営業と営業企画を担当する正社員293名に聞いた調査(2026年5月)では、資料作成を負担に感じている人は65.2%でした。1週間に6時間以上を資料作成に使っている人は、約4割いました。
提案のたびに資料を一から作っているときは、受注したものも失注したものも含めて過去の資料と提案書を集め、何をどの順で伝えているかを読んで、どのお客様にも使う共通の部分と、お客様ごとに変える部分に分けるところから始めます。お客様ごとに変える部分は、業種や受注の決め手が近い受注先のグループごとに、相手の課題、解決の仕方、同じような会社の事例を書き分けておきます。
こうして営業資料の型を作ると、提案のたびに書くのはお客様ごとの部分だけになります。商談で断られた理由や受注の決め手を見て、共通の部分を直していくこともできます。
この記事は、「営業資料作成」について、2種類の読者に向けて書きました。営業資料作成は、既存の資料と商談の記録を分析して、誰に、何を、どの順で伝える資料にするかを決めるところから始める支援です。
そのうえで、共通の部分とお客様ごとの部分を分けた面談用資料の型と、受注先のグループごとに課題と事例を書き分けた案を作り、提案書、便益整理シートと合わせて、デザインを仕上げて納品します。
便益整理シートは、受注した会社を業種、規模、受注の決め手などの共通点でまとめたグループ(ターゲット群)ごとに、何を、他社と比べてどんな独自性で届けるかをまとめた表です。
2種類の読者のうち、1つは、営業資料の型を作ると何が変わるのか、まだイメージを持てていない方です。もう1つは、イメージはあるものの、自社で作れるのか、外部の専門家に頼むべきか迷っている方です。
前半は、まだイメージを持てていない方に向けて、私たち(ローカルグローススタジオを運営するつなぐスタジオ)が作った営業資料と、営業資料の型を作ると何が決まるか、費用をかけずに始める進め方を書きました。
後半は、外部に頼むか迷っている方に向けて、どこまで自社で作り、どこから外部に頼むかの境目、外部への頼み方と頼む前に用意するもの、費用と補助金、目標にする数字と納品物の確かめ方を書きました。
この記事で分かること
まだイメージがない方向け
- 自社の営業で使った13案件の面談用資料と提案書を、共通の部分とお客様ごとの部分に分けて提案の型にした、私たちの事例の紹介
- 営業資料の型を作ると、どの資料のどこに何を書くかが決まる
- 目的は、資料を一から作る時間を減らし、お客様ごとの部分を書く時間を残すこと
- まず、過去の資料と提案書を読み、毎回同じ内容のページと、お客様ごとに書き直しているページに分ける
イメージはあるが次の一手に迷う方向け
- 共通の部分を作るまでは自社ででき、受注先をどう分け、それぞれに何を伝えるかは専門家に頼むと早い
- 伝える内容が決まっていなければ既存の資料と商談の分析から、決まっていれば原稿づくりか仕上げを頼む
- 見積もりは、資料と商談の分析から仕上げまでのうち、頼む範囲を各社でそろえて頼み、書かれた納品物を比べる
- 目標は、資料づくりの時間と、商談から次に進んだ割合を、新しい資料を使い始める前の数字と比べて決める
- 納品物では、編集できる元のファイルと記入例、数字の根拠と素材の利用条件がそろっていることを確かめる
1. 営業資料の型を作ると、どの資料のどこに何を書くかが決まる
13案件の資料を読み、サービスの紹介は共通のページにし、お客様ごとの部分は先方の言葉から見積もりまでの順に並べた
私たちは、自社の営業で使ってきた13案件の面談用資料と提案書を読み、毎回同じ内容で説明していた部分と、お客様ごとに書いていた部分を分けて、提案の型にしました。お客様ごとに書いていた項目は資料によって違っていたため、項目ごとに何本の資料に出てくるかを数えて見比べ、型に入れる項目を選んで、提案で説明する順に並べました。
共通の部分にしたのは、サービスの紹介のように、どのお客様にも同じ内容で説明するページです。お客様ごとの部分には、次の項目をこの順で書く欄として置き、先方から伺った言葉と、私たちの解釈である課題の仮説は、別のページに分けました。
- 先方で起きている問題(先方から伺った言葉のまま書きます)
- 事業の全体像の図
- 課題の仮説と、次の面談で確認したいこと
- ターゲット群の仮説
- 施策の進め方
- お見積もり
この型を使うと、提案のたびに書くのはお客様ごとの部分の欄だけになり、共通の部分は書き直さずに使えます。
便益整理シートで、ターゲット群ごとに何を伝えるかを決めてから、面談用資料と提案書を作る
営業資料作成で作るものと、それぞれを作ると変わることは次のとおりです。
| 作るもの | 中身 | 作ると変わること |
|---|---|---|
| 便益整理シート | ターゲット群ごとに、何を、どんな独自性で届けるかをまとめた表です | お客様ごとの部分に、どの課題と事例を書くかを選べます |
| 面談用資料の共通の部分 | 会社の紹介、商品やサービスの説明、進め方、料金です | どの担当者が使っても、同じ内容で説明できます |
| 面談用資料のお客様ごとの部分 | 相手の状況と課題、解決の仕方、同じような会社の事例を書く欄です | 商談の前に、相手に合わせて書くところが決まります |
| 提案書 | 面談で聞いた内容をもとに、何を、いつまでに、いくらで行うかをまとめた資料です | 何を、いつまでに、いくらで行うかが決まり、相手が社内で発注を決めるときの材料になります |
2. 何を目的にするか
目的は、提案のたびに資料を一から作る時間を減らし、お客様ごとの部分を書く時間を残すこと
営業資料の型づくりで決めるのは、何をどの順で伝えるかと、資料のどこを共通にし、どこをお客様ごとに変えるかです。共通の部分は一度作れば、提案のたびに作り直さずに済みます。その分の時間を、相手の状況と課題を調べて書くことに使えます。
お客様ごとの部分に、書く欄と書く内容を決めておくと、担当者が替わっても、同じ組み立てで提案できます。共通の部分を1つの資料にまとめておけば、商談の結果を見て直すときも、その資料を直すだけで、直した内容を次の提案から使えます。
資料は、商談に出た担当者が社内で決裁者に説明するときにも使えるようにする
カスタマーサクセスから学ぶ顧客満足度のための考え方:ライトサクセスとディープサクセスでは、決裁者が重視するのは、投資対効果や、売上とコストへの影響だと書きました。決裁者が打ち合わせに出られないときは、成果をまとめた報告資料を現場担当者から決裁者に共有してもらい、資料には要点を1ページにまとめたものを入れることも書いています。
ライトサクセスとディープサクセスの記事が扱っているのは既存のお客様への報告資料ですが、営業資料も、商談に出た担当者が社内に持ち帰って決裁者に見せることがあります。提案書の最初のページに、費用と、相手の会社で何が変わるかをまとめておくと、担当者がそのまま決裁者に見せられます。
3. どこから始めるか
まず、過去の資料と提案書を読み、毎回同じ内容のページと、お客様ごとに書き直しているページに分ける
営業資料の型づくりは、手元にある過去の資料から始められます。費用はかからず、使っているPowerPointやGoogleスライドと、ExcelやGoogleスプレッドシートで進められます。
1. 直近に使った営業資料と提案書を、受注したものも失注したものも含めて集めます
2. 受注した資料と失注した資料で、何をどの順で伝えていたかを見比べます
3. ページごとに、どの提案でも同じ内容か、相手ごとに書き直しているかを書き込みます
4. 同じ内容のページは、いちばん新しい版にそろえて、共通の部分にします
5. 書き直しているページは、何を書き直しているか(相手の課題、提案の中身、事例、見積もり)を書き出し、お客様ごとの部分の欄にします
次に、業種や受注の決め手が近い受注先のグループごとに、相手の課題、解決の仕方、同じような会社の事例を書いておく
便益整理の始め方|受注データから顧客を分類する3ステップでは、受注した会社の情報を一覧にして並べ替え、見えてきた共通点からターゲット群を作り、誰に、何を、どんな独自性で届けるかを整理しています。
同じ記事では、ターゲット群ごとに提案を組み立てるときに変えるものとして、相手の課題への共感、その課題の解決の仕方、同じターゲット群の会社の事例の3つを挙げました。営業資料では、この3つをお客様ごとの部分の欄にして、ターゲット群ごとに書いておきます。
ターゲット群をまだ作っていないときは、直近の受注先を業種、規模、受注の決め手で並べ、似た会社をまとめるところから始めます。
受注の記録や商談のメモをChatGPTやClaudeなどのAIに読ませて、受注先ごとに業種、規模、受注の決め手を並べた表に整理させることもできます。お客様の社名や担当者の名前、連絡先が入った記録を読ませる時は、AIに入力してよい情報の決まりを先に社内で決めておきます。
載せる数字と素材は、根拠と出どころを一緒に残す
資料に載せた数字や「No.1」の表示は、商談の相手から根拠を問われることがあります。実際より良く見せる表示は、個人のお客様にも渡す資料なら景品表示法、法人のお客様だけに渡す資料でも不正競争防止法で問題になることがあります。そのため、根拠にした調査と出典を一緒に残しておきます。
残し方は、資料の最後に出典のページを作り、数字ごとに出典、時点、調べた対象を書いておく形です。写真やイラストは、無料で使える素材でもサイトごとの利用規約を確かめ、出どころと利用条件を同じページに書いておきます。
4. どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか
共通の部分を作るまでは自社ででき、受注先をどう分け、それぞれに何を伝えるかは専門家に頼むと早い
自社で進められるのは、直近の営業資料と提案書を集めて、毎回同じ内容のページを共通の部分に、毎回書き直しているページをお客様ごとの部分に分けることです。ターゲット群と、それぞれに伝える内容が社内で決まっていれば、相手の課題、解決の仕方、同じような会社の事例をターゲット群ごとに書くところまで自社で進められます。
担当者ごとに別の資料を使っていて、どの資料で受注できたのかが分からない場合も、商談の記録に、使った資料と断られた理由を書くところから自社で始められます。
外部の専門家に頼むと早いのは、受注先をどの共通点でターゲット群に分けるかと、ターゲット群ごとに伝える内容を決めることです。どの共通点で分けると受注の決め手の違いが見えるかは、ほかの会社で同じ分析をしてきた経験があると早く見極められます。ターゲット群が決まっていないと、お客様ごとの部分に何を書けばいいかが決まりません。
その場合は資料より先に、受注先を業種、規模、受注の決め手で並べる分析から始めます。並べても、どの共通点で分けるかを社内で決めきれないときは、外部に頼むと早く進みます。
資料を見やすく仕上げることも、外部に頼むと早く進みます。伝える内容は決まっているものの、ページの文字が多くて読みにくく、整える人が社内にいない場合は、デザインの仕上げをデザイナーなどに頼めます。
資料を直す人を社内で決められるなら社内で進め、受注先の分け方を決めきれないなら外に頼む
| 選択肢 | 向いている会社 | 進め方と注意点 |
|---|---|---|
| 自分で進める | 商品やサービスの種類が少なく、社長か営業の責任者が提案の中身を把握している会社です | 過去の提案書を集めて共通の部分とお客様ごとの部分に分け、ターゲット群ごとの課題と事例を書きます |
| 社内で担当者を決める | 営業担当者が複数いて、資料を直す人を1人決められる会社です | 担当者が資料を直す時間を、営業の仕事とは分けて先に決めます。直した版をどこに置くかも決めておきます |
| 外に頼む | 受注先をどの共通点でターゲット群に分けるかから迷っている会社、見やすく仕上げる人が社内にいない会社です | 完成した資料だけを受け取ると、次に資料を直すときの手順が社内に残りません。お客様ごとの部分の記入例も納品物に含めておきます |
5. 外部に頼むときの3つの頼み方
伝える内容が決まっていなければ既存の資料と商談の分析から、決まっていれば原稿づくりか仕上げを頼む
営業資料を頼める相手には、デザイン会社やフリーランスのデザイナー、資料作成を請け負う会社、営業やマーケティングの支援会社があります。頼み方は、大きく次の3つに分かれます。
| 頼み方 | 何を頼むか | 納品物 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 既存の資料と商談の分析から | 過去の資料と提案書、商談の記録、受注と失注の理由を分析して便益整理を行い、ターゲット群ごとに何をどの順で伝え、商談をどう進めるかを決めてから、資料の型と、ターゲット群ごとに課題と事例を書き分けた案を作ります | 面談用資料(共通の部分とお客様ごとの部分、ターゲット群ごとの案)、提案書、便益整理シートです | ターゲット群や、それぞれに伝える内容を、社内で決めきれない会社です |
| 構成と原稿づくりから | 商品の説明や過去の提案をもとに、ページの構成と原稿から作ってもらいます | 構成、原稿、デザインを整えた資料です | 伝える内容はあるものの、資料にまとめる人が社内にいない会社です |
| デザインの仕上げ | 自社で作った原稿と構成をもとに、読みやすいページに整えてもらいます | デザインを整えた資料です | 伝える内容と順序が社内で決まっている会社です |
私たちの営業資料作成は、このうち「既存の資料と商談の分析から」に当たります。
頼む前に、過去の資料や受注と失注の記録をそろえ、資料の使い方と確認する人を決めておく
| 用意しておくもの | 中身 |
|---|---|
| 過去の資料と提案書 | 直近に使った営業資料と提案書です。受注したものと失注したものの両方を渡します |
| 受注と失注の記録 | 受注先の業種や規模、受注の決め手と、失注したときに断られた理由です |
| 使ってよい写真とロゴ | 自社で撮った写真、利用条件の分かっている素材、ロゴのデータです。条件の分からない素材は渡しません |
| 資料の使い方 | 商談で見せるか、印刷して配るか、Webに載せるか、社内で直して使い続けるかです |
| 確認する人 | 原稿の事実を確かめる担当者と、最後に決める人です |
資料の使い方として、社内で直して使い続けると決めたなら、納品された資料の著作権(作り変える権利を含む)が発注者に移ることを、業務委託契約書に書いておく形が一般的です。
6. 費用
自社で作る場合も、受注先の分け方を決めきれなければ資料と商談の分析を、整える人がいなければデザインの仕上げを頼む費用を見込む
自分で作る場合、作業は使っているPowerPointやGoogleスライドと、ExcelやGoogleスプレッドシートでできるので、道具に新たな費用はかかりません。費用を見込むのは、社内で決めきれない部分だけを外部に頼む場合です。
過去の受注先を業種、規模、受注の決め手で並べても、どの共通点でターゲット群に分けるかを社内で決めきれないときは、既存の資料と商談の記録の分析から、ターゲット群ごとに伝える内容と資料の構成を決めるところまでを頼む費用を見込みます。
伝える内容と順序が社内で決まっていて、ページの文字が多くて読みにくく、整える人が社内にいない場合は、デザインの仕上げだけを頼み、仕上げてもらうページの枚数に応じた費用を見込みます。
見積もりは、資料と商談の分析から仕上げまでのうち、頼む範囲を各社でそろえて頼み、書かれた納品物を比べる
営業資料の型づくりは、既存の資料と商談の記録を分析し、誰に、何を、どの順で伝える資料にするかを決める企画設計から始まります。次に、共通の部分とお客様ごとの部分を分けた型と、ターゲット群ごとに課題と事例を書き分けた案を作り、そのあとで原稿とデザインに進みます。
分析と企画設計は、ページの枚数だけでは中身を比べられません。そのため外部に頼むときは、この流れのうち頼む範囲(どこから始め、何を決めるところまでか)を各社でそろえて伝え、見積もりに書かれた納品物を比べます。
見積もりを頼むときは、次のことを伝えます。
- どこから頼むか(既存の資料と商談の記録の分析から、構成と原稿づくりから、デザインの仕上げだけ)
- 渡せる材料(過去の資料と提案書、商談の記録、受注と失注の理由)
- 何を決めるところまで頼むか(ターゲット群ごとに伝える内容と資料の構成、共通の部分とお客様ごとの部分を分けた型、ターゲット群ごとの案)
- 納期
見積もりでは、次のことを確かめます。
- 見積もりに、頼んだ作業ごとの納品物が書かれているか
- 分析で読む材料に、過去の資料だけでなく、商談の記録や、受注と失注の理由が入っているか
- 資料を社内で直して使い続けるなら、編集できる元のファイルで納品されるか
ページの単価は、伝える内容と順番が社内で決まっていて、ページごとの構成と原稿づくり、デザインの仕上げ、清書を頼むときに比べやすい目安です。
各社の公式サイトなどWEB上の情報(2026年10月20日閲覧)によると、資料の制作を請け負う会社の料金には、次のような例があります。料金と範囲は変わることがあるので、最新の内容は見積もりを取るときに各社に確かめます。
デザインを整えるだけの料金と、構成から作る料金の両方を出している会社
- c-slide(株式会社Cone): デザインを整えるなら1枚5,000円から、構成から作るなら1枚10,000円から
- NeoSlide(株式会社ワークデル): デザインを整えるなら1枚7,000円、構成から作るなら1枚12,000円
- デザポ(株式会社ユニモト): デザインを整えるなら1枚15,000円から、発注者の原稿をもとに構成を提案する企画構成は別に50,000円から
- プレゼンテーションデザイン(アドバー株式会社): デザインを整えるなら10枚20万円程度、構成から作るなら10枚30万円程度
スライドのフォーマットづくりや清書のように、作業の種類ごとのプランを出している会社
- M-agency(株式会社M-agency): 自社で繰り返し使うスライドのフォーマット(表紙や目次など6枚)を作るプランが98,000円
- PPwork: 今あるPowerPointの資料を、レイアウトと図表を変えずに清書するプランが1スライド2,500円(税別)
上に挙げた会社の料金のページでは、ページの枚数、頼む作業、スライドのフォーマットを作るかで料金が変わります。構成の費用、進行管理費、急ぎの依頼の特急料金のように、ページの単価とは別にかかる費用や、最低発注額が決まっていることもあります。
ページ単位で頼むときは、こうした費用に加えて、図やグラフ、写真素材、アニメーションが単価に含まれるかと、修正を頼める回数も確かめ、総額で比べます。
持続化補助金を使うなら、営業資料が広報費の対象外に当たらないかを申請の前に確かめる
営業資料の作成費は、小規模事業者持続化補助金の広報費に当たらないことがあります。広報費の対象は補助事業の計画に書いた商品やサービスを広報するパンフレットやチラシなどで、単なる会社のPRや営業活動に使う広報費と、会社案内のパンフレットは対象外の例に挙がっているためです。申請を考えるなら、作る資料が対象になるかを、申請の前に公募要領の広報費の説明で確かめます。
私たちの営業資料作成は、プロジェクト発注の制作物の納品として、月額15万円と制作費でお受けしている
私たちは、マーケティング支援の月額4万円を基本とし、必要な施策と制作物の分だけご発注いただく形で受けています。
必要な施策だけ取り組みたい、ウェブサイトやダッシュボードを制作したい、といったニーズに合わせて、単発のプロジェクト発注を1か月単位から受けています(1か月単月15万円から)。
営業資料作成は、このプロジェクト発注のうち制作物の納品の形で、月額15万円と制作費でお受けしています。面談用資料、提案書、便益整理シートを、私たちが進行を管理しながら一緒に作り、デザインは協働する専門人材と仕上げて納品します。
7. 目標にする数字と、納品物の確認のしかた
目標は、資料づくりの時間と、商談から次に進んだ割合を、使い始める前の数字と比べて決める
商談から次に進む割合は、商材や受注までの流れによって変わります。そのため目標は、新しい資料を使い始める前の自社の数字を出しておき、それと比べて決めます。
| 目標 | 測り方 | 見方 |
|---|---|---|
| 提案1件の資料づくりにかかる時間 | 提案ごとに、資料を作り始めてから送るまでの時間と、そのうちお客様ごとの部分を書いた時間を記録します | 新しい資料を使い始める前と比べて、資料づくり全体の時間が減ったかと、お客様ごとの部分を書く時間を削っていないかを見ます |
| 商談から次に進んだ割合 | 商談の数と、そのうち次の打ち合わせや見積もりに進んだ数を、ターゲット群ごとに数えます | 新しい資料を使い始める前と比べます。進んだ割合が低いターゲット群は、課題と事例の欄を見直します |
| 断られた理由と、直したページ | 失注したときの理由と、それを受けて直したページを月ごとに記録します | 同じ理由で断られ続けているのに、ページを直していない月がないかを見ます |
納品物では、編集できる元のファイルと記入例、数字の根拠と素材の利用条件がそろっていることを確かめる
| 確かめること | 見方 |
|---|---|
| 編集できる元のファイルで受け取ったか | 社内で使っているPowerPointやGoogleスライドで開き、文字や図を直せるかを見ます |
| 共通の部分とお客様ごとの部分が分かれているか | 共通の部分とお客様ごとの部分がページで分かれているかと、お客様ごとの部分に何をどこに書くかの記入例があるかを見ます |
| ターゲット群ごとの課題と事例が書かれているか | 便益整理シートのターゲット群と、資料のお客様ごとの部分の欄が合っているかを見ます |
| 数字と比較の根拠が残っているか | 数字や比較、No.1の表示ごとに、出典、時点、調べた対象が書かれているかを見ます |
| 写真とイラストの利用条件が分かるか | 使った素材ごとに、出どころと利用条件の一覧があるかを見ます |
| 著作権が自社に移っているか | 業務委託契約書に、納品された資料の著作権(作り変える権利を含む)が自社に移ると書かれているかを見ます |
ローカルグローススタジオの観点
便益整理の始め方の記事では、便益整理の結果を、営業、マーケティング、プロダクト開発、カスタマーサクセスなどの部門で共有して目線を合わせることを書きました。その例に挙げたのは、四半期に一度、結果を更新して全社のミーティングで共有する進め方です。
営業資料のお客様ごとの部分も、便益整理の結果を更新したときに合わせて見直すと、営業が商談で伝える内容を、ほかの部門と同じ便益整理の結果にそろえられます。
営業資料は、便益整理の結果を、商談の場でお客様に伝えるための資料です。そのため私たちの営業資料作成は、次の順で進めます。
1. 既存の資料と過去の提案、商談の記録、受注と失注の理由を集め、何をどの順で伝えていたかと、お客様ごとにどこを書き直していたかを分析します
2. 便益整理をもとに、ターゲット群ごとに何を、どの順で伝え、商談をどう進めるかを決め、資料の構成を組み立てます
3. 組み立てた構成をもとに、共通の部分とお客様ごとの部分からなる型を作り、ターゲット群ごとに相手の課題、解決の仕方、同じような会社の事例を書き分けた案を出します
4. デザインは協働する専門人材と仕上げ、レビューを経て納品します
営業資料の前にターゲット群を決める顧客分析・ターゲット設定、営業候補先を集める営業リスト作成、資料を使って新しいお客様に連絡して商談の約束を取るアウトバウンド営業代行も、別のメニューとしてお受けしています。
自社で進められることと、相談したほうが早いこと
過去の資料を共通の部分とお客様ごとの部分に分けること、ターゲット群ごとの課題と事例を書くこと、数字の根拠と素材の利用条件を確かめることは、専門家に費用を払わずに自社で進められます。
- 直近の営業資料と提案書を集め、毎回同じ内容のページと、毎回書き直しているページに分けます
- 書き直しているページの内容を、お客様ごとの部分の欄にします
- ターゲット群と伝える内容が決まっていれば、相手の課題、解決の仕方、同じような会社の事例をターゲット群ごとに書きます
- 資料に載せている数字、比較、No.1の表示ごとに、出典と時点を書き出し、写真とイラストの利用条件を確かめます
ここまでを自社で進めておけば、外部に頼む範囲を、伝える内容を既存の資料と商談の分析から決めること、構成と原稿づくり、デザインの仕上げのうち、社内で進められないところに絞れます。
一方で、外部に頼むほうが早く進むのは、次のような状況です。
- 受注先をどの共通点でターゲット群に分けるかが決まらず、お客様ごとの部分に何を書けばいいかを社内で決めきれないときです
- 伝える内容は決まっているものの、資料を見やすく仕上げる人が社内にいないときです
- 担当者ごとに別の資料を使っていて、記録を付けても、どの資料に合わせるかを社内で決めきれないときです
私たちは営業資料作成を、単発のプロジェクト発注のうち制作物の納品の形(1か月単位から、月額15万円と制作費)でお受けしています。既存の資料と商談の記録の分析から、ターゲット群ごとに伝える内容と資料の構成を決め、面談用資料(共通の部分とお客様ごとの部分、ターゲット群ごとの案)、提案書、便益整理シートを納品します。
詳しくはプロジェクト発注のページにまとめました。過去の資料を共通の部分とお客様ごとの部分に分けてみて、ターゲット群ごとに伝える内容を社内で決めきれないときや、資料を仕上げる人が社内にいないときは、よかったらご相談ください。
参考資料
- 自社の記事: 便益整理の始め方|受注データから顧客を分類する3ステップ、カスタマーサクセスから学ぶ顧客満足度のための考え方:ライトサクセスとディープサクセス
- 株式会社スライドチーム「営業担当者293名に聞いた資料作成への生成AI活用」(2026年6月8日。調査期間2026年5月10日から16日、営業・営業企画に関わる業務を担当する全国20歳から59歳の正社員293名、インターネット調査)
- 資料制作の会社の料金のページとよくある質問(2026年10月20日閲覧): c-slide、NeoSlide、デザポ、プレゼンテーションデザイン、プレゼンテーションデザイン よくある質問、M-agency、PPwork
- 不当景品類及び不当表示防止法、不正競争防止法、著作権法
- 小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)第20回公募要領(第8版、2026年7月21日)
まとめ:過去の資料と商談の結果から、共通の部分とターゲット群ごとの書き分けを決め、型を直していく
提案のたびに資料を一から作っているときは、過去の資料と提案書を集めて何をどの順で伝えているかを読み、どのお客様にも使う共通の部分と、お客様ごとに変える部分に分けるところから始めます。お客様ごとの部分には、ターゲット群ごとに、相手の課題、解決の仕方、同じような会社の事例を書き分けます。
型ができると、提案のたびに書くのはお客様ごとの部分だけになります。型を使い始めたあとは、商談で断られた理由と、次に進んだ割合が低いターゲット群を見て、共通の部分と、課題と事例の欄を直していきます。ここまでは費用をかけずに自社で進められます。
受注先をどの共通点でターゲット群に分けるかを社内で決めきれないときや、見やすく仕上げる人が社内にいないときは、外部に頼んだほうが早く進みます。
頼むときは、伝える内容が社内で決まっていなければ既存の資料と商談の記録の分析から、決まっていればページにまとめる作業だけを頼み、各社に同じ範囲で見積もりを頼んで比べます。資料を社内で直して使い続けられるように、納品された資料の著作権が自社に移ることも業務委託契約書に書いておきます。
納品物では、編集できる元のファイル、お客様ごとの部分の記入例、数字の根拠、素材の利用条件がそろっていることを確かめます。目標は、提案1件の資料づくりにかかる時間と、商談から次に進んだ割合を、新しい資料を使い始める前の自社の数字と比べて決めます。
「ビジネス知の機会格差をなくす」という私たちのミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご連絡ください。

執筆者 : 佐久間 一己 (さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカルグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャーを経て、福井県小浜市で道の駅・古民家ホテルの集客支援と行政の産業6次化に4年携わり、その後ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ執行役員、フィンテック事業責任者を務め、2025年に地方企業向けのマーケティング代理店を設立。BtoB事業でWEBメディアを立ち上げオーガニック流入を3か月で20倍に伸ばすなど、知名度や予算が限られる時期に効くマーケティングと採用の手法を、地方企業の規模に合わせて伴走します。


