サイトから問い合わせが来ないときは、伝える相手と内容の整理からはじめよう|WEBサイトの企画と制作の発注ノウハウ

ローカルグローススタジオは、『地方企業にスタートアップのような成長を』というテーマで、コンテンツ発信と支援サービスを展開しています。この記事では、実践的なビジネスノウハウを、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。

サイトをリニューアルしたのに、問い合わせは月に数件のままで、次に何をすればいいのかが決まらないことがあります。問い合わせを増やすために、サイトの中身はそのままで広告費を増やすことや、デザインやイメージからサイトを作り直すことを考える会社もあります。

大同生命保険の中小企業経営者アンケート(2026年4月)で、新規顧客の獲得や販路の開拓につながった方法を聞くと、「既存顧客、取引先からの紹介」が58%で最も多く、「自社ホームページ」が22%で続きました(この設問の回答は4,813社、複数回答)。業種別に見ても、製造業、建設業、卸・小売業、サービス業のどの業種でも、最も多いのは紹介でした。

調査を監修した神戸大学の柴本昌彦教授は、自社のホームページやSNSは紹介や口コミを後押しし、「自社の強みを見える化する手段」として活用できるとコメントしています。

サイトから問い合わせが来ないときは、作り直す前に、伝える相手(ターゲット)と伝える内容を整理するところから始めます。ターゲットは、サイトに来る人のうち、問い合わせや予約、応募をしてほしい人です。サイトを紹介や口コミの後押しに使うなら、紹介で社名を知った人がターゲットになります。

伝える内容は、ターゲットが問い合わせや予約、応募の前にサイトで確かめたいことへの答えです。紹介で社名を知った人なら、何をしている会社か、誰が対応するか、いくらで頼めるかが、伝える内容になります。

ターゲットと伝える内容を整理するときは、ターゲットごとに、起こしてもらう行動(問い合わせ、予約、応募など)も1つ決めます。ここまで決めると、用意するページと、問い合わせや予約の受け方、公開後に数える件数が決まります。

そのうえで、整理した結果をもとに、適切な作り方を選べます。ロゴや色、写真、言葉といったブランドのイメージを新しくしたいときは、サイト全体をデザインから作り直す方法が向いています。

ほかにも、今のページを見直して足りないページを足す方法や、外部のサービスに散らばった記事やコラムを自社のサイトに集め、事業部ごとに事例を月に1本か2本ずつ足していく方法があります。これらの方法なら、少ない費用で、ターゲットが確かめたいことに答えるページをそろえられることがあります。

この記事は、「WEBサイトの企画と制作」について、2種類の読者に向けて書きました。WEBサイトの企画と制作は、ターゲットと伝える内容を先に整理して必要なページを決め、作り方を選び、ワイヤーフレーム(ページの設計図)と原稿の作成、制作の進行管理、公開後の計測の設定まで進める支援です。

1つは、ターゲットと伝える内容を整理すると何が変わるのか、まだイメージを持てていない方です。もう1つは、イメージはあるものの、自社で進められるのか、外部の専門家に頼むべきか迷っている方です。

前半は、まだイメージを持てていない方に向けて書きました。私たち(ローカルグローススタジオを運営するつなぐスタジオ)が、自社のサイトと、支援先や提案先のサイトで、ターゲットと伝える内容を整理してから作り方を選んだ例を紹介し、整理すると決まることと、費用をかけずに始める順番を説明します。

後半は、外部に頼むか迷っている方に向けて、自社で進める範囲と外部に頼む範囲の境目、外部への頼み方と契約の前に決めること、費用と補助金、目標にする数字と納品物の確かめ方を書きました。

この記事で分かること

まだイメージがない方向け

  • 自社のサイトを作り直さずに先進企業の事例の記事を足した例、製造卸のサイトに課題別のページを足す企画などの、私たちの事例の紹介
  • ターゲットと伝える内容を整理すると、用意するページが決まり、適切な作り方を選べる
  • 目的は、ターゲットごとに決めた1つの行動(問い合わせ、予約、応募など)を起こしてもらうこと
  • まず、問い合わせてきた人がどこで自社を知ったかを書き出し、今のページも書き出す

イメージはあるが次の一手に迷う方向け

  • 溜まっている情報やノウハウでコンテンツを作成することは自社ででき、導線設計やサイト制作は専門家に頼むと早い
  • 作るページが決まっていれば制作かワイヤーフレームから、決まっていなければターゲットと伝える内容の整理から頼む
  • 見積もりは、作るページと直すページの数と、原稿を誰が書くかの条件を各社でそろえて比べる
  • 目標は、問い合わせや予約などの件数を、始める前の数字と比べて決める
  • 納品物は、ターゲットごとのページがそろっているかと、フォームから送った問い合わせが届くかまで確かめる

1. ターゲットと伝える内容を書き出すと、用意するページが決まり、適切な作り方を選べる

自社のサイトは作り直さず、事例を読みたい地方企業の経営者に向けて、先進企業の事例の記事を足していった

私たちは lgstudio.jp のリリース当初、マーケティングや人事などのノウハウの記事をいろいろ書きました。その中で、M&Aで事業を伸ばした先進企業の取り組みを、地方企業が学べるように調べてまとめた記事を2025年11月から出したところ、アクセスが上がりました。

Search Console(Googleの検索結果でのサイトの表示を確かめられる無料のサービス)の記録でも、具体的な企業の事例を扱った記事が検索でよく見られていました。そこで、事例の記事を読みたい人がいると判断し、ターゲットを、先進企業の取り組みから学びたい地方企業の経営者に、伝える内容を、先進企業の事例とその会社の判断を読み解いた分析に決めました。

そのうえで、取り上げる企業を、M&Aで事業を伸ばした会社から、後継ぎ(アトツギ)が継いだ家業、地方で起業した会社、地域と連携して事業を伸ばした会社などへ広げました。こうした会社の事例は、はじめ私たちが運営していた別のサイト(グローススタジオレポート)に載せ、2026年9月に lgstudio.jp へ移しました。

lgstudio.jp は作り直さず、「先進企業に学ぶ」シリーズとして、取り上げる会社やテーマごとのまとまり(編)に分けて記事を足し、マガジンのページに編ごとの記事の一覧を置いています。

2026年9月には、同じ課題に向き合った会社の事例を課題ごとに読み比べられる課題別編も加えました。シリーズは6つの編で、2025年11月から2026年9月までに46本になっています。

製造卸の支援先では、法人のお客様に向けて、課題ごとの解決のしかたと事例を載せたページを足すリニューアルを企画した

法人と取引している製造卸の支援先では、私たちがサイトのリニューアルを企画し、制作の進行を管理しました。ターゲットは法人のお客様で、伝える内容は、お客様が抱えている課題ごとの解決のしかたと、その事例です。お客様が自分の会社の課題からページを選んで読み進められるようにするリニューアルです。

作り方は、今のサイトに課題別のページを加える形にしました。今のページを階層の順に書き出したうえで、会社案内のページを1ページにまとめ、法人のお客様の課題別のページ、よくある質問のページ、外部の記事サービスに書いてきた記事を移すブログのページを足す企画です。

制作会社には、新しく作るページと手直しするページを分けて頼みました。

包装資材の商社には、パッケージや売り方に悩むお客様に向けて、解決策と事例のページを今のサイトに組み込む企画を提案した

包装資材を扱う商社への提案では、ターゲットを、商品のパッケージや売り方に悩むお客様とし、伝える内容を、その悩みを商社がどう解決できるかと、解決した事例としました。そのうえで、今のサイトに組み込む形で、商社が手がける商品の企画と販売の支援を、お客様が自分の悩みから選んで読めるページと、実績と事例のページを足す企画を提案しました。

ターゲットごとに、確かめたいことへの答えと、起こしてもらう行動を書くと、用意するページが決まる

ターゲットごとに、伝える内容(確かめたいことへの答え)と、起こしてもらう行動を書くと、用意するページが決まります。次の表は、ターゲットの例と、それぞれに向けて用意するページです。自社に近い行を選ぶと、ページの候補が分かります。

ターゲット確かめたいこと(伝える内容で答えること)用意するページ起こしてもらう行動
紹介や営業の連絡で社名を知った人何をしている会社か、誰が対応するか、いくらで頼めるかです代表と会社の紹介、サービスと料金、進め方です相談の予約です
自分の会社の課題から検索して来る法人の担当者その課題を解決できる商品や方法があるかです課題別のページ、事例、よくある質問です問い合わせか資料請求です
店舗に来ようとしている人場所、営業時間、予約できるかです店舗の案内、予約のページです予約か来店です
商品を買いたい人商品の違い、値段、届く日です商品ページ、通販のページです購入です
仕事を探している人仕事の中身、働き方、給与です採用のページ、求人です応募です
取引を検討している販売先卸値、ロット、発注の方法です取引先向けの案内のページです見積もりの依頼か取引の相談です

ターゲットが何種類もいるときは、種類ごとに最初に読むページを分けておくと、それぞれが確かめたいことにたどり着けます。問い合わせのフォームも用件ごとに分けると、受け取った側が、誰が対応するかをすぐに決められます。

整理した内容と今のページを並べると、全体を作り直すほかに、費用の少ない作り方が見つかることがある

整理が済んだら、ターゲットごとに書いた伝える内容と、今のサイトのページを並べます。並べると、サイトで何をする必要があるかが分かり、それによって、どの作り方が適切かが変わります。

並べて分かった必要なこと適切な作り方主にかかる費用と時間
ブランドのイメージ(ロゴ、色、写真、言葉)を新しくすることデザインから全体を作り直します全ページのデザインと制作の費用です
ターゲットが確かめたいことに答えるページを増やすこと今のサイトに、課題別のページや事例のページを足します足すページのワイヤーフレームとデザインの費用と、原稿を書く社内の時間です
どの事業でどんな課題を解決できるかを、事例と記事で示すこと外部のサービスに散らばった記事を自社のサイトに集め、事業部ごとに事例を月に1本か2本ずつ足します記事を移す作業と、事例を書く社内の時間か、取材と執筆を頼む費用です
新しい事業を、今の事業と分けて試すこと今のサイトとは分けて、小さなサイトを作ります試すサイトの制作の費用です

サイト全体をデザインから作り直す方法は、ブランドのイメージを新しくするには有効ですが、数百万円かかる例もあります。足りないのが、ターゲットの確かめたいことに答えるページなら、今のページを見直して数ページを足す方法で間に合い、費用も少なく抑えられることがあります。

2. 何を目的にするか

目的は、ターゲットごとに決めた1つの行動(問い合わせ、予約、応募など)を起こしてもらうこと

サイトの目的は、ターゲットごとに決めた1つの行動(問い合わせ、予約、応募など)を起こしてもらうことです。行動を1つに決めておくと、どのページにどのボタンを置くか、公開後に何の件数を数えるかが決まります。

その行動を起こしてもらうには、ターゲットが行動の前に確かめたいことへの答え、つまり伝える内容をサイトにそろえておきます。

私たちの記事「新サービス開始時のステップをおさらい」では、「顧客があなたのサービスを知り、理解し、安心して問い合わせできる環境」を「受け皿」と呼び、受け皿が整っているかを点検する項目を次の5つにまとめました。

  • サービス名と概要、提供価値、サービスの内容、価格、提供の流れ、会社情報が分かるページがあるか
  • お客様が抱える悩みと、その解決の仕方が書かれているか
  • ノウハウ記事、よくある質問、実績、代表者や担当者のプロフィールなど、比較して検討できる情報があるか
  • 問い合わせのフォームがページに埋め込まれ、入力の項目が少なく、電話番号やメールアドレスも書かれているか
  • 問い合わせの後に自動返信が届き、日程を自分で選べるようになっているか

同じ記事では、受け皿が整わないまま広告を出すと、問い合わせに至らなかった理由が、サイト、広告、サービス自体のどれにあるのかを切り分けられないとも書きました。

3. どこから始めるか

まず、直近に問い合わせてきた人がどこで自社を知ったかを書き出し、ターゲットを決める

ターゲットと伝える内容を整理する材料の多くは、すでに社内にあります。次の4つは、費用をかけずに自社で進められます。

1. 直近3か月の問い合わせ、予約、応募を1件ずつ書き出します

2. 問い合わせ、予約、応募をした人それぞれが、どこで自社を知ったか(紹介、検索、広告、営業の連絡、店頭)を書きます。分からないものは空けておき、これからの問い合わせでは、最初の返信や商談の場で聞きます

3. 検索から来た人の検索語と、最初に開かれたページを見ます。検索語はSearch Console(Googleの検索結果でのサイトの表示を確かめられる無料のサービス)で、最初に開かれたページはGA4(Googleのアクセス解析ツール)で見られます。設定がなければ、設定するところから始めます

4. 書き出した人を種類ごとに分けてターゲットを決め、ターゲットごとに、伝える内容(確かめたいことへの答え)と、起こしてもらう行動を1行ずつ書きます

Search ConsoleとGA4で毎月見る数字の決め方は、発注ノウハウのシリーズの「KPI設計・レポート自動化の発注ノウハウ」で説明しています。

次に、今のページを1枚ずつ書き出し、ターゲットごとに足りないページを探す

今あるページの棚卸しも、費用をかけずに自社で進められます。ExcelやGoogleスプレッドシートが1枚あれば始められます。

1. トップページから、メニューの順にすべてのページを書き出し、階層の順に並べます

2. ページごとに、載っている内容と、外部のサービスへのリンクかどうかを書きます

3. ターゲットごとに書いた伝える内容と並べ、その内容を載せているページがなければ「足す」と書きます

4. 同業の会社を数社選んでサイトを開き、事例、よくある質問、見積もり、解説の記事などのページがあるかを、自社のページの横に書いて比べます

5. ページごとに、残す、直す、足す、手を付けない、の印を付けます

同業の会社のサイトと並べると、自社のサイトに足りないページの種類が分かります。印を付けた棚卸しの表は、そのまま制作会社への説明と見積もりの条件に使えます。棚卸しの表をもとに、リニューアルした後のページを階層の順に並べ、ページごとに新しく作るか、直すか、そのまま残すかを書くと、ディレクトリマップと呼ばれる表になります。

足りないページの種類と数が分かれば、ページを足す方法、記事を集めて事例を足していく方法、全体をデザインから作り直す方法のうち、どの方法で補うかを選べます。

足すページは、見出しの順と載せるものを下書きしてから、費用が少なく社内にある材料で作れるものから作る

足すページが決まったら、ページごとに、見出しをどの順に置き、事例、よくある質問、フォームをどこに置くかを、手書きやスライドで下書きしてみます。下書きしておくと、原稿に必要な材料と、社内で用意するものが分かります。

この下書きを、ページの見出しや写真、ボタンの位置を線と文字だけで描いた設計図(ワイヤーフレーム)に仕上げる作業は、ページを設計してきた専門家に頼むと早く進みます。

ページを足していくときは、費用が少なく、社内にある材料で作れるものから先に作ります。包装資材の商社への提案では、検索エンジンが記事の本文を読み取れるようにする設定を、やることの一覧の最初に置き、サイト全体の構成とデザインの見直しは最後に置きました。

製造卸の支援先でも、会社案内のページをまとめる直しを先に置き、新しいページはその後に作る企画にしました。次の表では、この2社の企画で置いた順番をもとに、作るものを順に並べました。

順番作るもの主にかかるもの
1番目検索エンジンが記事の本文を読み取れるようにする設定、問い合わせのフォームを用件別に分ける直し、会社案内のページをまとめる直しです設定と手直しの作業です
2番目事例、よくある質問、課題別のページのように、社内にある材料で書けるページです社内で書く原稿と、ワイヤーフレームとデザインです
3番目見積もりの計算や通販のように、新しい機能が必要なページです機能の開発と検証です
4番目サイト全体の構成とデザインの見直しです全ページのデザインと制作です

設定と手直し、社内にある材料で書けるページまでは、今のサイトのデザインのまま進められます。ここまでで問い合わせの件数や、事例を読んだ人の数が変わるかを見てから、新しい機能や全体のデザインの見直しに費用をかけるかを決めます。

外部のサービスに散らばった記事やコラムは、自社のサイトに集め、読んだ人が事例や問い合わせのページへ続けて進めるようにする

外部の記事サービスやSNSに書いてきた記事は、そのサービスのページとして読まれます。読んだ人は、自社のサイトへのリンクをたどってから、問い合わせに進むことになります。

自社のサイトに集めると、記事から事例、課題別のページ、問い合わせのページへと、続けて進めるように並べられます。営業の場でも、自社のサイトの記事のURLを渡して説明に使えます。

私たちも2026年9月に、はじめ別のサイト(グローススタジオレポート)に載せていた、他社の取り組みを紹介する事例の記事31本を書き直し、lgstudio.jp の「先進企業に学ぶ」に移しました。元のURLからの転送も設定し、事例を読んだ方が同じサイトの中でノウハウの記事や相談のページへ進めるようにしました。

記事を移すときは、元のURLから新しいURLへ転送を設定できるサービスなら設定します。転送を設定できないサービスでは、元の記事に自社のサイトの記事へのリンクを置きます。

自社のサイトに載せた記事が、本文にある言葉で検索しても出てこないときは、ページの作り方によって、検索エンジンが本文を読み取れていないことがあります。記事を集める前に、制作会社やサイトの作成サービスに設定を確かめます。

事例とコラムは、事業部ごとに担当を決めて月に1本か2本ずつ足し、1年で事業ごとの解決事例をそろえる

事例は、課題、提案、結果の3段にそろえて書くと、事業部が違っても同じ形でサイトに並びます。事例ごとに、どの課題を解決した事例かの区分を付けておくと、課題別のページにも同じ事例を載せられます。

事業部ごとに月に1本か2本を足すと、1年で事業部ごとに12本から24本の事例とコラムがサイトに並びます。記事は公開した後も自社のサイトに残り、お客様が自分の課題に近い事例を探して読めます。1年後には、どの事業でどんな課題を解決できるかを、自社のサイトの事例で示せるようになります。

事例を載せる前に、載せてよいかを事例のお客様に確かめておきます。社名を出さない形なら載せてよいという場合は、業種と課題と、行ったことで書きます。

4. どこまで自社でやり、どこから外部に頼むか

溜まっている情報やノウハウでコンテンツを作成することは自社ででき、導線設計やサイト制作は専門家に頼むと早い

社内に溜まっている情報は、自社でサイトの記事やページの原稿にできます。事例や、よく聞かれる質問への答えは、お客様と話してきた事業部の担当者が材料を持っています。外部の記事サービスやSNSに書いてきた記事も、自社のサイトに集めて使えます。業務の中で身につけたノウハウを解説する記事も、自社で書けます。

ターゲットと伝える内容の整理、今のページの棚卸し、外部に書いてきた記事と事例にできるお客様の書き出しも、自社で進められます。リニューアルしたのに問い合わせが月に数件のままの場合も、制作会社に何ページでどんなデザインにするかを聞かれて答えられない場合も、ターゲットと伝える内容の整理から始められます。

専門家に頼むと早いのは、導線の設計と、サイトの制作です。導線は、サイトに来た人がどのページから読み始め、どのページを読み進めて問い合わせまで進むかの道筋です。

導線の設計では、ターゲットごとに、最初に読むページと、そこから読み進めるページの順を決め、問い合わせのボタンを置くページを選びます。決めた導線は、ページごとに、見出し、事例、よくある質問、ボタンの位置を線と文字で描いた設計図(ワイヤーフレーム)にします。課題別のページなら、お客様の課題を見出しにして、解決のしかた、事例、よくある質問、フォームの順に並べます。

ページの中の見出しの順は、社内で手書きやスライドに並べて下書きできます。その下書きをもとに、どの課題をいくつ並べ、どの事例を当て、どこに問い合わせのボタンを置くかを決めるには、ページを設計してきた経験が必要です。

デザインとコーディングと、見積もりの計算や予約、通販のような機能の開発は、制作会社に頼みます。ディレクトリマップ(リニューアルした後のページを階層の順に並べ、ページごとに何をするかを書いた表)とワイヤーフレームができていれば、制作会社には、作ると決めたページだけを頼めます。

ターゲットが何種類もいて、誰に向けたページから作るかや、どの作り方にするかを社内で決めきれないときは、導線を設計する前の、ターゲットと伝える内容の整理から専門家に頼むと早く進みます。

事業部ごとの記事を毎月書く時間が社内に取れないときは、取材と執筆の代行を頼む方法もあります。その場合も、事業部の担当者が、事例にできるお客様の候補を出し、原稿の事実を確かめる役を受け持ちます。

足すページが数ページなら社長が自分で作り、導線を設計する人が社内にいなければ外に頼む

選択肢向いている会社進め方と注意点
自分で進める足すページが数ページで、社長がサイトの管理画面や、プログラムを書かずにサイトを作れるノーコードの作成サービスでページを作れる会社ですターゲットと伝える内容、起こしてもらう行動を先に書き、伝える内容を載せるのに足りないページだけを作ります
社内で担当者を決める事例やコラムを毎月足す予定があり、事業部に書く時間を取れる人がいる会社です事業部ごとの担当と、月に何本足すかを先に決めます
外に頼む導線を設計してワイヤーフレームを描く人が社内にいない会社、ターゲットが何種類もいて足すページの順番を決めきれない会社、事例やコラムを毎月書く時間が社内に取れない会社、予約や通販の機能を組み込む会社です足したページを社内で更新できるように、更新の手順書も納品物に含めます

5. 外部に頼むときの3つの頼み方

作るページが決まっていれば制作かワイヤーフレームから、決まっていなければターゲットと伝える内容の整理から頼む

サイトの制作を頼める相手には、Web制作会社、フリーランスのデザイナーやエンジニア、マーケティングの支援会社があります。頼み方は、大きく次の3つに分かれます。

頼み方何を頼むか納品物向いている会社
制作だけ自社で決めたページのワイヤーフレームと原稿をもとに、デザインとコーディングを頼みます公開済みのページです作るページが決まり、ワイヤーフレームと原稿が社内でできている会社です
ワイヤーフレームから作るページと、社内で書いた原稿や事例を渡し、ワイヤーフレームから作ってもらいますワイヤーフレーム、公開済みのページです作るページは決まっていて、原稿も社内で用意できるものの、来た人が問い合わせまで進む導線や、ページの中の並びとボタンの位置を決める人が社内にいない会社です
ターゲットと伝える内容の整理から公開後の計測の設定までターゲットと伝える内容、起こしてもらう行動を決め、今あるページの棚卸し、ディレクトリマップ、制作の進行管理、公開後の計測の設定まで頼みますディレクトリマップ、ワイヤーフレームと原稿、公開済みのページ、更新手順書、計測の設定ですターゲットが何種類もいる会社や、どの作り方にするかを社内で決めきれない会社です

私たちのWEBサイトの企画と制作は、このうち「ターゲットと伝える内容の整理から公開後の計測の設定まで」に当たります。納品物は公開済みのサイト、原稿、更新手順書です。

表にあるディレクトリマップ(リニューアルした後のページを階層の順に並べ、ページごとに何をするかを書いた表)とワイヤーフレームは進める中で一緒に作り、原稿も一緒に作ります。計測は公開した後に設定します。ターゲットと伝える内容の整理、今あるページの棚卸し、ワイヤーフレームまでを先に頼み、制作は次に頼む分け方もできます。

あとから自社でページを足したり直したりできるように、ドメイン名の登録者とサイトの管理画面の管理者を自社にしておく

どの作り方でも、公開した後に、自社や別の制作会社がページを足したり直したりすることがあります。ドメイン名の登録者、サーバーの契約者、サイトの管理画面の管理者を自社にしておくと、制作会社との契約が終わった後も、自社でページを足せます。

制作会社が作ったページを、自社や別の制作会社が直して使う予定があるなら、納品されたページの著作権(作り変える権利を含む)が発注者に移ることを、業務委託契約書に書いておく形が一般的です。

頼む前に、ターゲットと伝える内容を書いたもの、今あるページの棚卸し、事例の材料を用意する

用意しておくもの中身
ターゲットと伝える内容、起こしてもらう行動ターゲットごとに、伝える内容(確かめたいことへの答え)と、起こしてもらう行動を1行ずつ書いたものです
今あるページの棚卸し今あるページを階層の順に並べ、残す、直す、足す、手を付けないの印を付けたものです
今の数字直近3か月の問い合わせ、予約、応募の件数と、それをした人がそれぞれどこで自社を知ったかです
事例と記事の材料事例にできるお客様と載せてよいかの確認の結果、外部のサービスに書いてきた記事のURLです
使ってよい写真とロゴ自社で撮った写真、会社案内の冊子のデータ、ロゴのデータです
アカウントの契約者と管理者ドメイン名、サーバー、サイトの管理画面、GA4(Googleのアクセス解析ツール)の契約者と管理者です
確認する人原稿の事実を確かめる担当者と、最後に決める人です

公開したい時期があるときは、これらを渡すときに、公開までの予定も制作会社に確かめておきます。製造卸の支援先では、制作会社の目安で、ワイヤーフレームの確認から公開まで約3か月を見込みました。

これは一例で、AIを使って進めればもっと早い場合もあり、セキュリティを重視する制作会社では、もっと時間をかけることもあります。

6. 費用

制作の料金は数万円から数百万円まで幅があるので、必要なページと機能を先に決めてから見積もりを取る

JetB株式会社が制作会社106社に聞き取った調査(2023年10月から2024年4月、ECのミカタの記事)では、コーポレートサイトの制作料金は3万5千円から650万円まで幅がありました。

料金の幅が大きいので、見積もりを取る前に、作るページと必要な機能を決めておきます。私たちが企画した製造卸のサイトでも、制作会社への依頼は、新しく作るページと手直しするページの数で分けました。

見積もりは、作るページと直すページの数と、原稿を誰が書くかの条件を各社でそろえて比べる

各社の公式サイトなどWEB上の情報(2026年10月20日閲覧)によると、料金表を公開している制作会社のうち、参考資料に挙げた3社の料金のページでは、次の条件で料金が変わります。複数の相手から見積もりを取るときは、印を付けた今あるページの棚卸しの表を渡し、これらの条件をそろえてから比べます。

  • 新しく作るページと、手直しするページの数です
  • 問い合わせのフォームや通販のような機能を組み込むかです
  • 原稿や写真を自社で用意するか、原稿の作成や写真の撮影を相手に頼むかです
  • 公開後の更新を相手に頼むか、頼むなら月額の契約か、1回ごとの依頼かです

自分で作るなら、ノーコードの作成サービスの月額とドメイン名の費用で始められる

ノーコードの作成サービスの料金は、STUDIOの料金ページ(2026年10月時点)によると、小規模サイト向けのBusinessプランが月3,980円(年払いの場合)です。このほかに、独自のドメイン名の費用と、ターゲットごとに伝える内容を原稿にする時間がかかります。

WEBサイトの企画と制作は、プロジェクト発注として月額15万円と制作費でお受けしている

私たちは、マーケティング支援の月額4万円を基本とし、必要な施策と制作物の分だけご発注いただく形で受けています。単発のプロジェクト発注は、1か月単位から受けています(1か月単月15万円から)。

WEBサイトの企画と制作は、このプロジェクト発注のうち制作物の納品の形で、月額15万円と制作費でお受けしています。

ターゲットと伝える内容の整理と、今あるページの棚卸しは私たちが一緒に行い、ディレクトリマップ、ワイヤーフレーム、原稿も一緒に作ります。そのうえで、制作会社や協働する専門人材が進める制作の進行を管理して、公開後の計測の設定まで進めます。

持続化補助金を使うなら、ウェブサイト関連費はほかの経費と一緒に申請し、発注は交付決定の後にする

小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)では、販路開拓のためのウェブサイトの作成、更新、改修の費用が、ウェブサイト関連費の対象に入ります。ウェブサイト関連費で申請できる補助金の額の上限は30万円(税込)で、ウェブサイト関連費だけでは申請できません。

交付決定日より前に発注や契約をした経費は対象にならないので、補助金を使うなら、制作会社への発注は交付決定を待ってからにします。ウェブサイトに関するコンサルティングや助言の費用は対象にならないため、外部に頼む作業のどこまでが対象になるかも、事業者の規模や申請の締切とあわせて公募要領で確かめます。

7. 目標にする数字と、納品物の確認のしかた

目標は、問い合わせや予約などの件数を、始める前の自社の数字と比べて決める

問い合わせや予約がどのくらい来るかは、商材や地域、ターゲットによって変わります。そのため目標は、作り直す前やページを足す前の自社の数字を出しておき、それと比べて決めます。

目標測り方見方
問い合わせや予約などの件数問い合わせ、予約、応募など、ターゲットごとに決めた行動の件数を、用件ごとに月ごとに記録します始める前の月と比べます
足したページからの件数課題別のページや事例のページから、問い合わせや予約などの行動に進んだ件数を見ます件数が少ないページは、ターゲットが確かめたいことに答えているかを読み直します
どこで自社を知ったか問い合わせのたびに、紹介、検索、広告、営業の連絡のどれで知ったかを記録しますターゲットに決めた人から問い合わせが来ているかを見ます
事例と記事の本数事業部ごとに、自社のサイトに足した事例とコラムの本数を月ごとに記録します足さなかった月が続いている事業部がないかを見ます
検索での表示とクリックSearch Console(Googleの検索結果でのサイトの表示を確かめられる無料のサービス)で、表示回数とクリック数を見ます記事を足した月の後で、表示とクリックが増えているかを見ます

納品物は、ターゲットごとのページがそろっているかと、フォームから送った問い合わせが届くかまで確かめる

確かめること見方
ターゲットごとに、伝える内容を載せたページがあるかディレクトリマップ(リニューアルした後のページを階層の順に並べ、ページごとに何をするかを書いた表)で、作ると決めたページがすべて公開され、ターゲットごとに、最初に読むページと、問い合わせや予約などのボタンがあるかを見ます
ワイヤーフレームどおりの順で並んでいるか足したページに、課題、解決のしかた、事例、よくある質問、フォームが、決めた順で並んでいるかを見ます
問い合わせのフォームが動くか用件ごとにテストの問い合わせを送り、自動返信と社内への通知が届くか、送信の前に利用目的が目に入るかを見ます
移した記事が読めるか移した記事が自社のサイトで開け、元のURLから転送されるか、本文の言葉で検索して出てくるかを見ます
名義と権利が契約どおりかドメイン名とサイトの管理画面の登録者、契約者、管理者が自社になっているかと、契約書の権利の条項を見ます
更新の手順書があるか事例や記事を足すときに、誰が、どの画面で、何をするかが書かれているかを見ます

問い合わせのフォームで利用目的が目に入るかを確かめるのは、入力画面で個人情報を受け取る会社に、あらかじめ本人へ利用目的を示すことが求められ、送信の前に目に留まる配置が望ましいとされているためです(個人情報保護委員会のガイドライン通則編)。

ローカルグローススタジオの観点

私たちは新サービス開始時のステップをおさらいで、新しいサービスを始めるときは、サービスを設計した後、記事や広告で人を集める前に、受け皿を整える順番を書きました。サイトは、この受け皿に当たります。

受け皿として必要なページは、ターゲットと伝える内容で決まります。そのため私たちのWEBサイトの企画と制作も、ターゲットと伝える内容を先に整理して必要なページを決め、今あるページを棚卸しして、適切な作り方を選びます。そのうえで、来た人が問い合わせまで進む導線をワイヤーフレームに描き、原稿を一緒に作って、制作の進行を管理します。

作り方は、全体の作り直しに限らず、費用が少なく社内にある材料で作れるページから順に足していく方法も含めて選びます。公開した後に計測を設定し、問い合わせまでの流れを確かめてから、記事や広告で人を集める施策に進みます。

自社で進められることと、相談したほうが早いこと

次の作業は、専門家に費用を払わずに自社で進められます。

  • 直近3か月の問い合わせ、予約、応募を1件ずつ書き出し、どこで自社を知ったかを書きます
  • ターゲットごとに、伝える内容と、起こしてもらう行動を1行ずつ書きます
  • トップページからメニューの順にすべてのページを書き出し、残す、直す、足す、手を付けないの印を付けます
  • 外部の記事サービスやSNSに書いてきた記事を書き出し、自社のサイトに移す記事を選びます
  • 事業部ごとに、事例にできるお客様と、月に何本足すかを決めます
  • 事例、よくある質問への答え、業務で身につけたノウハウを、事業部ごとに記事やページの原稿に書きます
  • 足すページごとに、見出しをどの順に置き、事例、よくある質問、フォームをどこに置くかを、手書きやスライドで下書きします

ここまでを自社でやれば、外部に頼む範囲を、導線の設計とワイヤーフレームの作成、デザインとコーディング、制作の進行管理、公開後の計測の設定に絞れます。頼む範囲が狭くなる分、見積もりに入る作業も減ります。

一方で、外部に頼むほうが早く進むのは、次のような状況です。

  • ターゲットが何種類もいて、誰に向けたページから作るかや、どの作り方にするかを社内で決めきれないときです
  • 来た人が問い合わせまで進む導線を設計して、足すページのワイヤーフレームを描く人が社内にいないときです
  • 事業部ごとの事例やコラムを毎月書く時間が社内に取れないときです

私たちはWEBサイトの企画と制作を、単発のプロジェクト発注のうち制作物の納品の形(1か月単位から、月額15万円と制作費)でお受けしています。納品物は、公開済みのサイト、原稿、更新手順書です。進める中で、ディレクトリマップとワイヤーフレームを一緒に作り、原稿も一緒に作ります。公開した後に計測を設定します。

詳しくはプロジェクト発注のページにまとめました。直近の問い合わせを書き出したり、今あるページを棚卸ししたりしてみて、どの作り方にするかを決めきれないときや、導線を設計する人が社内にいないときは、よかったらご相談ください。

参考資料

まとめ:問い合わせが来ないときは、ターゲットと伝える内容を整理してから、適切な作り方を選ぶ

サイトから問い合わせが来ないときは、作り直す前に、ターゲットと伝える内容を整理します。ターゲットは問い合わせや予約、応募をしてほしい人で、伝える内容は、その人が問い合わせや予約、応募の前に確かめたいことへの答えです。

整理するときに、ターゲットごとに起こしてもらう行動も1つ決めておくと、用意するページ、問い合わせや予約の受け方、公開後に数える件数が決まります。そのうえで、整理した結果と今のページを並べ、適切な作り方を選びます。

ブランドのイメージから新しくしたいときは、デザインから作り直す方法が向いています。それ以外のときは、全体を作り直さなくても、ページや記事を足す方法で間に合うことがあります。

足りないのが、ターゲットの確かめたいことに答えるページや事例なら、設定や手直しで済むものから先に進め、社内の材料で書けるページを順に足します。問い合わせの件数が変わるかを見てから、新しい機能や全体のデザインの見直しに費用をかけるかを決めると、少ない費用でそろえられることがあります。

最初の一歩は、直近3か月に問い合わせてきた人がどこで自社を知ったかを書き出し、今のページも書き出すことです。紹介で社名を知った方もターゲットに入れ、ターゲットごとに、伝える内容を載せたページがあるかを見ます。ここまでは費用をかけずに自社で進められます。

外部のサービスに散らばった記事やコラムは自社のサイトに集め、事例は事業部ごとに月に1本か2本ずつ足していきます。1年後には、どの事業でどんな課題を解決できるかを、自社のサイトの事例で示せるようになります。

事例やノウハウの記事は、社内に溜まっている情報から自社で書けます。来た人が問い合わせまで進む導線の設計と、デザインやコーディングなどの制作は、専門家に頼んだほうが早く進みます。記事を毎月書く時間が社内に取れないときは、取材と執筆の代行を頼む方法もあります。

導線の設計や制作を外部に頼むときは、印を付けた今あるページの棚卸しの表を渡して見積もりの条件をそろえ、ドメイン名の登録者とサイトの管理画面の管理者を自社にします。納品後に自社や別の制作会社がページを直す予定があるなら、ページの著作権が自社に移ることも契約書に書いておきます。

「ビジネス知の機会格差をなくす」という私たちのミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容について、さらに詳しく知りたい方は、ぜひご連絡ください。